【第75回】福井県福井市「フクイレジャーランド ワイプラザ店」~「喫茶マミイ」など

岐阜県不破郡関ヶ原町。

石田三成率いる西軍と徳川家康率いる東軍が激しくぶつかりあった天下分け目の“関ヶ原の戦い”の地として知られる町だ。もっとも、古戦場を見るためにはるばるやって来たわけではない。名神高速道路西宮線をひたすら西へと進んでいるだけで、いまこの瞬間にも岐阜県から滋賀県に突入しようとしていた。

現在の時刻は22時過ぎ。
つい先ほどまで愛知県名古屋市にいて、もっと遡れば15時に神奈川県川崎市の「タイトーステーション 溝の口店」に集合したことからこの旅はスタートしている。もうすでに7時間が経過しているのだ。

本連載の第69回70回の宮城県仙台市への旅で味をしめたのか、担当者O氏から「今度さ、富山のほうに行かない?」と軽いノリで誘われた。
Googleマップの北陸エリアには、かねてより行ってみたかったゲームスポットのピンがそれなりに立っている。いざ行こうとするとこれがなかなかに大変なのが北陸であり、ひょっとして絶好のチャンスなのか? 今回もまた旅程がふんわりしてて不安はあるが、まぁ面白そうだしいっかーという勢いと打算だけでうっかり話に乗ってしまった。

神奈川から静岡、愛知ときて名古屋市栄にある「ゲームキングジョイ」に寄り、その後はとにかく今日中に行けるところまで行くという算段だ。私がレトロアーケードを求めるのと同時に、O氏には「麻雀ファイトガール」の旅打ちという裏テーマがある。その意味でお互いの利害は概ね一致しているのだ。

そういえば、第51回で確認した「ゲームキングジョイ」の男子トイレにある『トイレッツ』(セガ/2011)はまだ残されていたことをこの機会にお伝えしておきたい。ただ、センサーが取り外されてモニター脇に置かれていたこともあり、撤去ももう時間の問題かもしれない。

キングジョイのトイレッツです

クルマは岐阜をかすめて滋賀に入った。
米原ジャンクションから北陸自動車道に向かい、琵琶湖東岸を北上していく。やがて福井県へ入り敦賀、鯖江を通過して福井インターチェンジを降りた。時刻は23時になろうとしている。福井県の一軒目に予定していた福井市の『フクイレジャーランド ワイプラザ店』の営業時間に間に合うかどうか。

時間的にキワドそうなのはなんとなくわかっていたので食事をするヒマもなかった。道中で何か美味しいものでも食べられるかも……という期待もあり昼メシを抜いたのが仇となった。トイレ休憩時に買った静岡の三ヶ日バウムクーヘンが胃袋にいるだけだ。
このあたりのメインストリートであろう国道8号線沿いのお店はことごとく今日の営業を終了している様子で、このままでは空腹を抱えて寝ることになる。もちろん今夜の宿も決まっていない。

福井レジャーランドの写真です

初っ端から暗雲垂れ込めていたものの、閉店ギリギリ間一髪のところで『フクイレジャーランド ワイプラザ店』に滑り込むことに成功。ヤレヤレ。これでどうにか“ゲームある紀行”の体裁だけは保つことができそうだ。
こちらのお店はゲームだけでなく、ビリヤードやダーツ、ボウリングもできる大型アミューズメント施設だ。ボウリングは24時間営業だが、ゲームコーナーは24時閉店となっている。

福井レジャーランドの写真その2です

足早に廻ってみると、『SEGA World Drivers Championship』(セガ・インタラクティブ/2018)のシングルが一台。2021年にオンラインサービスが終了してるし、市場でもあまり見かけなくなってきている感じはする。
あとは「厚木レジャーランド」など郊外型の大型レジャランではわりとお馴染みの海外製パンチングマシンがいくつか。総合アミューズメント施設らしいスポーティなラインナップだ。

福井レジャーランドの写真その3です

夜の宿はこの前と同様、「快活CLUB」に決まった。
「麻雀ファイトガール for NetCafe」をやりたいO氏は満足そうだ。ここまでブッ通しで運転してきたというのにまだゲームをやるとはタフなヤツ。
運よくお店の隣が深夜1時まで営業しているラーメン店「岐阜タンメン」だったので、晩メシ抜きはかろうじて免れた。まぁこの際、2時間も前に岐阜県は通り過ぎていることには目をつぶろう。じゃ、麻雀がんばって。私は寝るから。

部屋にモゾモゾと潜り込み横になって目を閉じたら、次の瞬間にはもう朝だった。
ちゃんと平らなところで寝られたので体力もそれなりに回復した。今日は相当な数のゲームセンターを回ることになり、疲れたなどと言ってはいられない。

まずは朝食を食べようじゃないか。
もちろん“テーブル筐体喫茶”で。
国道8号線を下って、福井鉄道福武線を越えた江瑞駅の近くにある『喫茶マミイ』は朝8時半から営業しているお店だ。

マミイの写真その1です

看板がなければ見逃してしまいそうなくらい小さくて可愛らしい建物に入ると、カウンターにはベロア生地の赤いスツールが並び、その奥の背の高いガラス棚には多数のコーヒーカップが並んでいた。壁に掲げられた手製のメニュー表やさり気なく飾られたオープンリールのデッキ。さらに入口脇には懐かしの公衆電話ブースがあり、ピンク電話が鎮座している。外観とはちょっと釣り合っていないくらいの昭和の純喫茶の佇まいが素晴らしい。

マミイの写真その2です
マミイの写真その3です

3台置かれたテーブル筐体のうち、座ったのは『アルカノイド リベンジオブDOH』(タイトー/1987)のインストラクションカードが入ったテーブル。シルバーの光沢があるインストはかなりキレイで、アイテム効果表も破れはあるがきちんと残っている。
コンパネは1P側2P側とも取り外され、代わりに樹脂シートでカバーされていた。後方にある2台の筐体は麻雀ゲームが入っていたようだが、こちらも同様にコンパネが取り外されている。1台は『リアル麻雀 牌牌』(アルバ/1985)、もう1台の方のインストはブランクになっていた。

マミイの写真その4です

普段朝ごはんを食べない私は軽めにトーストを、O氏は朝からがっつりオムライスを注文。やってきたオムライスは薄焼き卵にくるまれ、見るからにボリュームのありそうな様子だ。これで500円は相当にお値打ちで、美味そうに食べている姿を見ていると、私もオムライスにしときゃよかったなとちょっぴり感じた。

マミイの写真その5です

こちらのお店は、聞けば創業から47年を数えるのだそう。つまりは1979年から営業していることになる。
1979年といえば、日本ビデオゲームの嚆矢となる「スペースインベーダー」(タイトー/1978)が大ヒットを飛ばし、全国でブームに沸いた年だ。

「スペースインベーダー」は「ブロック崩し(Breakout)」(アタリ/1976)をヒントに生まれたゲームで、「アルカノイド」は「ブロック崩し」をベースにインベーダーのように弾が撃てるギミックなどを盛り込んだアレンジ作品だ。「スペースインベーダー」と「アルカノイド」は2017年にタイトーが「アルカノイドvsインベーダー」というゲームを発表するほど密接な関係がある。
1979年創業の『喫茶マミイ』にアルカノイドの系譜がいまだ存在するのは、これ導かれし運命……などと脳内で勝手に物語を繰り広げひとりで盛り上がっていると、お店のご主人が一枚のハガキを見せてくれた。
東京銀座の消印が押されたそのハガキにはお店の外観を手描きで起こしたイラストが描かれており、あまりの雰囲気の良さに思わず描いてしまったと匿名でお礼がしたためられていた。なんという素敵なエピソードだろう。物腰柔らかで仲睦まじい様子のご主人と奥さんにもたっぷりと癒され、福井の朝は爽やかなものになった。

マミイの写真その6です

マミイを出て、石川県金沢市に向かうことに。
その途中に『福井レジャーランド 板垣店』も覗こうとしたのだが、あいにく営業時間前で中に入れずじまい。残念。
5月だというのに店の前には除雪用ブルドーザーが置かれており、冬の厳しさが垣間見えるのが印象的だった。

福井レジャーランド板垣店の写真です

この先。北陸から甲信越を股にかけた怒涛のゲーセン巡りがはじまる。
おそらく何軒かちょいとつまんで一泊して帰るくらいだろう……と軽く見積もっていたことを、重く後悔することになるのであった。

次回に続く。

 

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著者紹介
さらだばーむ

目も当てられないほど下手なくせにずっとゲーム好き。
休日になるとブラブラと放浪する癖があり、その道すがらゲームに出会うと異様に興奮する。
本業は、吹けば飛ぶよな枯れすすき編集者、時々ライター。

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