【前回のあらすじ】
本連載の担当者・O氏に北陸への旅を持ちかけられアッサリ乗ってしまった筆者を乗せ、クルマは一路、福井県まで到達。
そこまでに数軒のゲームセンターに立ち寄り、ネットカフェで爆睡し、翌朝はテーブル筐体喫茶でモーニングを堪能する。
いまだ寝起きでボンヤリしながらも、石川県へと向かうのであった。
石川県金沢市藤江。
福井市を出発したクルマはひたすら北上を続けていた。北陸自動車道は石川県に入ると海岸線に沿うように進み、左手に雄大な日本海がチラチラと姿を見せる。
日程が許すのであれば、このあたりにも途中で寄ってみたいゲームスポットがいくつかあるのだが、限られた時間の中では訪れる場所を厳選せざるをえない。ギリギリと歯噛みしながら断腸の思いでGoogleマップを睨みつける。
石川県のほぼ中央にある金沢市は、人口45万人を超える北陸の中心地。江戸期は加賀藩の藩庁でもあり、諸大名の中でも最大を誇る百万石の城下町を形成した。第二次世界大戦時にアメリカ軍の空襲を受けることなく江戸の風情を残し、北陸新幹線が開通してからは国内外に観光地として改めて存在感を放っている。
北陸自動車道金沢西ICを降りて、しばらくすると見えてくるのが、籠目マークでお馴染み『バイパスレジャーランド 藤江本館・新館』だ。
前回の「フクイレジャーランド ワイプラザ店」「福井レジャーランド 板垣店」に続いてやけにレジャーランド(通称“レジャラン”)ばかり行ってない? と気づいた方はカンが鋭い。
“レジャーランド”は関東在住のゲーマーにも馴染みのある大型ゲームセンターだ。秋葉原のドン・キホーテやAKB48劇場と同じビルにも入居しているし、池袋のサンシャインシティ入口向かいの「サントロペ」→「シルクハット」と移り変わってきたゲーセン跡地は現在「東京レジャーランド 池袋店」となっている。他にも埼玉、千葉、神奈川、群馬と関東甲信越の広範にわたって店舗展開している。
これら“レジャーランド”グループを運営するアミューズメント企業が株式会社山崎屋。その山崎屋の本社所在地が石川県金沢市であり、さらに詳しく言えばここ『バイパスレジャーランド 藤江本館』の中に本社事務所がある。
無類の“デカいゲーセン好き”の私は、関東にあるいくつかのバカデカいレジャランにシビれてきた。そしていつかは総本山たる「バイパスレジャーランド」にも訪れてみたいと密かに思っていた。
そう! 今回の旅の大きなテーマには≪レジャランに会いに行こう!≫があったのだ!
ようやく果たされた感慨を胸に抱きつつ、新館の方から入ってみることにしよう。
1階には膨大な数のクレーンゲームとレースゲーム、パンチングマシンなど大型機器が中心。ミニパワーショベルでカラーボールを掴み上げる豪快なクレーンマシンや、これがあるだけでそのゲーセンの長い歴史を感じることができる『相撲-THE SUMO-』(トーゴ/1991)などが置かれている。
この『相撲-THE SUMO-』、確か「神奈川レジャーランド厚木店」にも置かれていたな……と過去の写真をひっくり返してみたところ、力士人形の身体のキズの付き方がまったく同じ具合で、同一個体である可能性が高い。厚木からはるばる金沢まで巡業してきたということか。


▲上がバイパスレジャーランド藤江新館にあるSUMO。下が1年前に神奈川レジャーランド厚木店で撮った写真
2階には音楽ゲームやオンライン麻雀ゲームなどがあり、ビリヤードとボウリングも24時間楽しめる。中2階のような3階にはカラオケ、そして4階にはまたボウリングのレーンがある。
ちなみに新館の隣の建物には「金沢ゆめのゆ」という健康ランドとホテルの複合施設があり、こちらも山崎屋が経営している。どうやらゲームコーナーもあるようなので、次回訪れた際はここにゆっくり泊まって金沢散策と洒落込みたいものだ。
さて、新館ですでに興奮度MAXだが、本番はむしろここから。
1974年に国道8号線(金沢バイパス)沿いにバイパス食堂をオープンしたことから山崎屋の歴史ははじまった。空前のインベーダーブームより前、1977年に食堂の横にゲームセンターを開設。それが現在の『バイパスレジャーランド 藤江本館』であり、ひいてはレジャラン生誕の地なのである。
お隣にそびえる新館と比べると本館はこぢんまりとして見えるが、中に入ると結構広い。1階にはメダルゲームとクレーンゲーム。階段下には“2階 ビデオゲーム”と書かれた看板が掲げられており、いやが上にも期待が高まる。
階段を上がってみると広々としたフロアを埋め尽くす汎用筐体たちが目に飛び込んでくる。
ビデオゲームをメインとするゲームセンターが下火を通り越して絶滅危惧種になろうかという昨今、この眺めはまさに圧巻だ。
縦横無尽に配置された筐体の間を歩いてチェックしていくと、並べ方に様々な工夫があることに気づく。
例えば、アイレムの『R-TYPE』(1987)『R-TYPEⅡ』(1989)、コナミの『パロディウスだ!~神話からお笑いへ~』(1990)『極上パロディウス ~過去の栄光を求めて~』(1994)、ナムコの『ミスタードリラー』(1999)『ミスタードリラーG』(2001)などシリーズを横並びで置いてみたり。
『レイフォース』(1994)『レイストーム』(1996)『ダライアス外伝』(1994)『Gダライアス』(1997)と、シリーズで並べつつも同時にシューティングで存在感を示した時期のタイトータイトルでカテゴライズした進化系統を掲示しているようでもあるのだ。
同じように『天地を喰らう』(1989)『天地を喰らうⅡ』(1992)『ファイナルファイト』(1989)『エイリアンVSプレデター』(1994)でカプコン名作ベルトスクロールアクションを一括りにしているかと思えば、セガの「テトリス」(1988)とアリカの「テトリス ジ・アブソリュート ザ・グランドマスター2 PLUS」(2000)を比較展示するように配したりしているのも面白い。
実際のところ、どの程度意識して配置しているかは不明なのだが「『源平討魔伝』(1986)の隣が『怒』(1986)……。並びに『ダブルドラゴン』(1987)もあるし、80年代後期アクション括りか」とか、「『ファンタジーゾーン』(1986)と『スターフォース』(1984)という不朽の名作縦横シューティング並びいいねぇ。こっちの『ワルキューレの伝説』(1989)『大魔界村』(1988)のファンタジーアクション配置もまたニクい」とか、こちらの勝手に関連付けで想像しながら楽しめる、まるで博物展示のような楽しみ方もできてしまう。これも豊富な在庫のなせるワザだろう。
また、石川県ではずーっと長い間『ぷよぷよ』がアツいままで、頻繁に対戦会が催されているそうだ。もちろん格ゲーもガンダムゲーもあるし、永遠の高インカムタイトル『上海』だって抜かりはない。このお店の隠れた目玉『アルカノイド』10円プレイ台もロングラン稼働している。
この充実ぶりは生半可ではなくその気になれば1日中ここで楽しんでいられる。北陸最強のレトロゲーセンの名は伊達ではない。
たっぷりゲームで遊び、隣の「金沢ゆめのゆ」で心ゆくまでダラダラしていきたいところだが、そうもいかない忙しない旅の身。2階の隅にある山崎屋本社事務所に向かって柏手を4回打ってからお店を後にした。ありがたいありがたい。
バイパスレジャラン近くの「もりもり寿し」でおまかせにぎりに舌鼓を打ちながら、この後の動きを検討する。
じつを言うと、今日東京に帰るのか、はたまたどこかで泊まって明日帰るのか、何も決まっていないのだ。成り行きまかせにもほどがある。
またしても続く。
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