【第66回】新潟県三島郡「出雲埼レトロミュージアム」~新潟県燕市「公楽園」など

新潟県長岡市城内町、2025年12月31日。
大晦日の朝のJR長岡駅だ。

昨日は『ゲームセンター テクノポリス』でフィーバーして、ついでにピンボールが置いてあるというコインランドリーを視察し(すでに消え失せてました)、長岡駅前のビジネスホテルで一泊した。新潟市にある実家に泊まるのではなく、あえてホテルで過ごしてから大晦日に帰宅するキャンペーンを数年前から実践しているためだ。実家に一度入ってしまうともう外出がしづらくなるため、新潟のゲームスポットを巡るにはその方が都合がいい。

ちなみに過去に訪れたところは、一昨年が第16回第17回、そして去年が第42回に掲載されている(ご覧いただけると幸いです)。第17回で訪れたスーパー、キューピット石山店の営業終了がつい先日報道されるなど、新潟ゲームスポットの状況も目まぐるしく変化している。一刻も早く気になる場所を訪れねばならない。

今日は2026年2月の閉館が報じられた『出雲崎レトロミュージアム』(新潟県三島郡)に一年ぶりに訪れるつもりでいた。事前に長岡駅前から出雲崎駅前までの路線バスがあることも確認済みで、9時台のバスに乗ればオープン時間の10時頃には出雲崎に着くことができるという寸法だ。あとは乗り遅れないようにすれば問題なく連れて行ってもらえるハズ。

飲食店の写真です
▲朝からノンキに新潟B級グルメ「イタリアン」を食べようとしていた

ところが。
バスターミナルに貼られていた年末年始の特別時刻表で9時台のバスが運休で、その次は12時台まで一台もないことが判明する。なんと恐ろしいことに4時間ほども待たねばならないというのだ。

代替交通手段としては、柏崎もしくは三条方面から鉄道で迂回するか、あるいはタクシーで向かうか。いずれも時間とお金がムダにかかる厳しい選択だ。いっそ12時までどこかで時間を潰す? いや、到着が午後までズレ込むと実家に帰る時刻も相当遅くなりそうだし……うーん。
まさに万事休すの事態に、長岡駅の小さなフードコートでスマホを睨みつけ、頭からモクモクと煙を吹き上げていると、突然スマホの着信音が鳴った。
こんな早朝にDM? と訝しみながら開けてみると、推し活仲間のJ氏からだった。
昨年知り合った長岡市内に住むJ氏は、私が現在長岡にいて『出雲崎レトロミュージアム』に行こうとしていることをXを通じて知っていた。具体的な話などは一切していなかったのだが、DMには『よければ車で送りますよ』と書かれていた。
マジか! あまりのジャストタイミングにその時、神の存在を確信した。

わずか30分ほどで長岡駅まで迎えに来てくれたJ氏に感謝を伝え、晴れて出雲崎へと向かえることとなった。25分ほどで『出雲崎レトロミュージアム』に到着。するとそれまで雨模様だった空も少しばかり太陽が顔を出した。うむ、今日はいい日になりそうだ。

出雲埼レトロミュージアムの写真その1です

ミュージアムの館内は、昨年訪れたときとはガラッと変わっていた。展示台とガラスケースに整然と並べられていたレトロアイテムが、テーマごとに区切られた小部屋に生活感を感じさせるように配置され、往時の雰囲気を感じさせる展示スタイルへと進化していた。部屋に入るごとに込み上げる懐かしさに思わず声を上げる。

出雲埼レトロミュージアムの写真その2です

ゲーム系のラインナップは昨年とあまり変わっていないようだったが、見せ方が変わるだけでかなり新鮮に感じる。ぐるぐる廻っては写真を撮ったり、J氏の息子Jr.くんと任天堂の『テレビゲーム15』で対戦して負けたり、駄菓子を購入して館長にご挨拶したりと楽しいひとときを過ごした。

出雲埼レトロミュージアムの写真その3です

この記事が掲載された翌々日をもって『出雲崎レトロミュージアム』は営業終了となってしまっているハズで、少しも力になれなかった申し訳なさだけが残る。閉館後どうなってしまうのかについても現在のところ未定の様子。これだけの蒐集物がただ散逸するのは本当に惜しいことだし、どうにか八方丸く収まることを願っている。

さて。
ここから出雲崎駅まで歩いて越後線に乗り実家に帰る予定だったのだが、列車の発車時刻は1時間ほど先。それならどこかまで送りますよ、というJ氏のお言葉にまたしても甘え、JR越後線の吉田駅まで連れて行ってもらうことになった。吉田駅からであれば列車本数は格段に増え、寒い駅舎で長時間待つこともない。本当にありがたい。

クルマは出雲崎から寺泊、分水と快調に走り抜けていく。
ふとスマホの地図を眺めていてあることに気づいた。このまま国道116号線を進むと“あの施設”があるじゃないか。もはや図々しいを遥かに通り越していることは百も承知だが、厚かましいお願いをJ氏に快諾いただき寄ってもらえることになった。目的を遂げるためにもはや恥も外聞もないのだ。

広大な田んぼの中にポツンと現れる年季の入った味のある建物。
第42回でも訪れた、1階がコインスナック、2階が宿泊施設の『公楽園』(新潟県燕市)だ。

公楽園の写真その1です

さすがに今回の行程ではどうやっても来訪は無理だろうと最初から諦めていた。それがいま目の前にあると思うと感動で胸がアツくなる。朝にドーナツを食べたきりでお腹も減ってはいるがノンキに自販機グルメを堪能してるヒマはない。急いでゲームコーナーを見て回ろう。

公楽園の写真その2です

お? 確か去年はなかった『麻雀ファイトガール』(コナミ/2023)が単機で入ってる! オンラインできるのかな?
新製品が入荷することはないだろうなどと勝手に思い込んでいたのでこれにはびっくり。
ほかは配置に変更があるだけで特に変わった点は……いや待て。

公楽園の写真その3です

これはまさか『ダンシングアイ』(ナムコ/1996)!
ナムコご乱心脱衣陣取りゲームが公楽園に新入荷だと!?
予想をはるかに超えたトリッキーなラインナップに興奮が押さえきれない。
クレーンゲームには大人向けDVD、カプセルクレーンには女性の下着入りカプセルが景品として入れられており、昨今のコンプラ規制なにするものぞという気概をビシビシと感じる。エロ成分過多のごった煮カルチャー時代を懐かしく感じるようになって久しいが、そんな世間の風潮とは無縁で在り続ける姿勢はアッパレと言うほかない。

変わらぬ異様な熱気に気分を高揚させながら、今度こそ吉田駅前まで送っていただいた。またの再会を約し去っていくクルマを見送ると、駅舎で列車の時刻を確認してからこの後の行動を検討する。クルマで連れてきてもらったおかげで、時間的にだいぶ余裕ができていたのだ。となるとコレ、去年は諦めた場所へ行くチャンスなのでは……

しばらくしてやってきた越後線の列車に乗り込み2駅目の岩室駅で下車。
駅前に住宅がチラホラある以外は一面に田んぼが広がる駅だ。見渡す限り建物もなくひたすらに田んぼしかない。この広大な田んぼのあぜ道を突っ切った先にこの日最後の目的地があるのだ。

水田の写真です

遮るものがない寒風に吹きさらされ、折悪しく降り出したぼた雪がフードの上に積もっていく。今日は運がいいのか、それとも悪いのか。景色にまったく変化がないためいつまで経っても到着する気がしない。もしこのままここで行き倒れたら、見つかるのは年明けかもな……
 横殴りの雪で顔面が凍る寸前、どうにか田んぼを踏破し国道116号線にたどり着いた。その脇に建つのが、ゲームセンター『プレイハウス エリナ』(新潟市西蒲区)だ。

プレイハウスエリナの写真その1です

1981年創業のこちらは“音ゲーの聖地”として全国的にも名を馳せている。そのラインナップは最新機種からあまり見かけなくなったレアなものまで多岐にわたる。『テクノヴェルク』(ナムコ/2000)などは、リリース当時でもほとんど見かけることはなかった一品だ。
『ビートマニア』シリーズは5鍵の通常タイプとミニタイプにビートマニアⅢまで、さらに7鍵のⅡDX通常筐体からLIGHTNING MODELに至るまで、まるで博物館のようにずらり並ぶ様は圧巻の一言。

プレイハウスエリナの写真その2です
▲ゲーセンにダルマストーブがあるのも雪国ならでは

なにかと音ゲーに注目が集まりがちだが、それ以外のジャンルも抜かりはない。例えば『アウトラン』(セガ/1986)のコックピットタイプにはアンプが取り付けられており、他では味わうことのできない爆音でのゴキゲン走行が可能になっている。
また、奥のエリアにはパズル、アクション、シューティング、麻雀ゲームなどがミディ筐体で稼働している。音ゲーエリアとは壁で仕切られており、扉を閉めれば静かにゲームに没頭できるのも嬉しい配慮といえる。
今でこそ“音ゲーの聖地”と呼ばれているが、アクションシューティング、ドライブゲーム、対戦格闘ゲームなど時代の潮流と需要に合わせてその姿を調整し続けてきたからこそ、プレイヤーへの細やかな配慮が隅々まで行き届いているのを感じる。

プレイハウスエリナの写真その3です

今回の帰省で訪れた『ゲームセンター テクノポリス』『出雲崎レトロミュージアム』『公楽園』『プレイハウス エリナ』は、いずれも立地がいいとはいい難い。鉄道と徒歩でも行けないことはないが、やはりクルマがないと難儀することだろう。そのため各店独自の個性を打ち出して、わざわざ出向きたくなるような工夫を凝らし、集客の手間を惜しまない。

コロナ禍にはクラウドファンディングで対抗し、お店に親しみをもってもらうためにグッズの制作販売をしたりもする。あるいは、あるがままを維持しつつも飽きられないようにラインナップにも気を使っている。どうにかビデオゲームを遺したい、楽しさを伝えていきたいという想いがそれぞれの店内には漲っているように感じるのだ。

プレイハウスエリナの写真その4です
▲来店記念にグッズを購入するのも楽しみのひとつ

年明けからゲームセンター閉店の報せが相次いでいる。今後も決して楽観はできない状況は続くだろう。だからこそ、どうか自分の身近なゲームセンターの力になってあげてほしい。諦めないお店がそこにある限り、プレイヤーもまた諦めることなく100円を投入し続けようじゃないか。

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さらだばーむ ゲームある紀行

 

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著者紹介
さらだばーむ

目も当てられないほど下手なくせにずっとゲーム好き。
休日になるとブラブラと放浪する癖があり、その道すがらゲームに出会うと異様に興奮する。
本業は、吹けば飛ぶよな枯れすすき編集者、時々ライター。

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