2024年で発売から30年になる、懐かしの家庭用ゲーム機、セガの「セガサターン」。
現在ではゲームハードを発売していないセガですが、当時は定期的にハードをリリースしていました。
セガハードは時代を先取りしすぎて「10年早い!」と言われ続けてきたのですが、そんなセガサターンにも、時代を先取った多くの拡張機器が存在していました。
ハードに使い道のわからない謎の接続部が存在していることや、沢山の拡張機器を繋いで対応するゲームを遊んでいく工程は、とてもワクワクしますよね。
この記事では、そんなセガサターンの歴史に触れながら、拡張機器や対応ゲームについて紹介していきます。
セガサターンとは
発売から30年が経ち、セガサターンを知らない、という方も増えてきているかと思いますので、まず、セガサターンとは何か、という基本的な部分に触れていきます。
セガサターンは、任天堂のスーパーファミコンが家庭用ゲーム機として80%以上のシェアを獲得していた時代、次世代機として現れました。
現在でもナンバリングで後継機が出続けているPlayStationの初代機や、Switchがロングセラーを続けている任天堂のニンテンドウ64と共に一時代を築いた、名ハードだったのです。
セガサターンの歴史
セガサターン(SEGA SATURN)は1994年11月22日にセガ・エンタープライゼスから発売された家庭用ゲーム機です。
セガサターンは、当時カセットタイプから徐々に主流になりつつあったCD-ROMを採用し、当時としては画期的であった32ビットCPUを採用したハードとして、パナソニックの3DO REAL、三洋電機の3DO TRYに続いて発売されました。
また、開発に携わった日立製作所からHiサターン、日本ビクターからVサターンという互換機が発売されていました。
更にHiサターンの別バージョンとして、「ゲーム&カーナビ ハイサターン」、通称ナビサターンが発売されています。
このナビサターンは、なんとその名の通り「Hiサターン」と「カーナビ」の機能を合わせ、本体を小型化して持ち運べるようにしたものでした。
現在では電話とゲームとカーナビの機能がついたスマートフォンが当たり前のように普及していますし、このナビサターンの存在も「10年早い」と言われる理由のひとつではないでしょうか。
ちなみにサターンという名称は、セガが発売した六番目のゲームハードであるということから、太陽系第六惑星である土星(Saturn)にちなんで付けられました。
世界展開したセガのハードとしては唯一累計販売台数1,000万台を下回ったコンソールではありますが、日本国内では唯一任天堂の同世代ハードの販売台数を上回ったハードでもあります。
また、セガサターンの歴史を語る上でかかせないのが藤岡弘、氏が演じたマスコットキャラクター「せがた三四郎」の存在です。
1997年11月から1998年11月の短い間テレビCM等で活動したキャラクターではありますが、そのままの藤岡弘、氏が道着姿で様々なアクションに挑戦するという、そのインパクトは絶大でした。
セガサターンはプレイしたことがないが、コマーシャルでの「セガサターン、シロ!」の売り文句が記憶に残っている、という方も多いのではないでしょうか。
この売り文句は、「セガサターンで遊ぼう」という意味はもちろん、同時期に発売された、後期型の白いセガサターンを宣伝する「セガサターン、白」の意味も込めた、ダブル・ミーニングとなっています。
なお、1998年2月にはCM好感度2位を獲得し、年末には紅白歌合戦に出演するほどCM自体の話題性はあったものの、悲しいことにセガサターン自体の売上はまったく伸びなかったそうです。
CMのセンスもまた、10年早すぎたのかもしれませんね。
基本的な仕様と機能
セガサターンは日立製作所の32ビットCPU、SH-2を2基搭載しており、それまでとは比較にならないほど高水準のゲームが遊べることで、「64bit級」という売り文句で宣伝されていました。
また、2D描画性能に関しては他の32ビットゲーム機や当時のアーケードゲームと比較しても高水準であり、競合機のプレイステーションと比較して「2Dのサターン、3Dのプレステ」などと呼ばれたりもしていました。
BGM音源の面でもYMF292-Fというヤマハ製のチップが使われており、セガサターンが優れていました。
様々なハードで発売されたゲームのBGMを比較して聴いてみると、セガサターンのBGMがどれだけ綺麗かがハッキリわかるぐらいです。
コントローラも、セガが発売した前機種である、「メガドライブ」の対戦格闘ゲーム用パッドから引き継いだ、特徴的な6ボタンの仕様になっており、格闘ゲーム以外にも、複数のボタンを使用するようなゲームをプレイするユーザーには嬉しい一品でした。
また、十字キーも工夫されていて、ナナメ入力がしやすく、現在でもその仕様を引き継いで、他社から他機種向けにセガ公認のセガサターンのようなコントローラが発売されているほどの人気があります。
「10年早い」どころか10年後も愛されるコントローラを作り出したのですから、流石ですよね。
他にも、ゲームに使われているCD-ROM以外に、CD+Gを再生できる機能もついており、一部の映像コンテンツがついたCDや、カラオケ用のCDソフトを映像付きで再生することもできました。
セガサターンの拡張機器
ここからは、本題であるセガサターンの拡張機器について触れていきます。
今ではゲーム機には当たり前となった機能が、30年前のゲーム機に拡張機器として実装されている、そんなセガの「10年早さ」を感じていただけたらと思います。
拡張RAMカートリッジとパワーメモリー
セガサターンの代表的な拡張機器として、本体後方の拡張カートリッジスロットに挿すことができる、拡張RAMカートリッジとパワーメモリーが挙げられます。
拡張RAMカートリッジによるゲーム体験の革新
まずは拡張RAMカートリッジの紹介をしていきます。
RAMとはRandom Access Memoryの略で、CPUの作業領域のことであり、これが大きいほど作業能力が向上します。
つまり拡張RAMカートリッジは、RAMを拡張し、サターン本体のRAMだけでは遊べないゲームを遊べるようにすることや、読み込みの時間を短縮する役割を持つ拡張機器なのです。
現在のゲーム機でも、オンラインゲームで読み込みを早くするために一括ダウンロードをしたり、パソコンならゲームの処理を早くするためにメモリを増設したりしますよね。
まさにセガの「10年早さ」がわかる一面です。
初めにリリースされた「ザ・キング・オブ・ファイターズ’95」では、専用の拡張RAMカートリッジがゲームに同梱する形式となっており、CD-ROMとRAMカートリッジを併用することは「ツインアドバンスドROMシステム」と呼ばれていました。
この拡張RAMカートリッジは、これまでの「アーケードゲームが家庭用ゲーム機に移植されると、容量などの制約からどうしても違和感が出る」という常識を覆す高い移植度と短いロード時間の両立を実現しました。
その後、専用のRAMカートリッジではなく使い回しが可能なRAMカートリッジがそれぞれ1MBのものと、4MBのものが発売されています。
カートリッジが同梱されるゲーム、カートリッジがなくても遊べるがあれば快適に遊べる対応ゲームなど、様々なゲームが発売されました。
1MB対応のものは、より高い容量を持つ4MBカートリッジで代用できそうに思えますが、一部の1MBカートリッジ対応ソフトは、4MBカートリッジを読み込めない場合もありました。
また、前述したような専用カートリッジが必要なゲームについては、どちらのカートリッジにも対応していないため、注意が必要です。
外付け記憶装置、パワーメモリー
パワーメモリーは外付けの保存媒体で、本体が462ブロック(32KB)保存できるのに対して、パワーメモリーは約8,000ブロック(512KB)と、およそ16倍ものデータを保存できました。
そもそも当時のゲームといえば、ゲーム機ではなく、ゲームのソフトにデータを記録するのが一般的であったため、ハードに記録できるということ自体が画期的だったのです。
これまでのゲームハードでの、友達とゲームを貸し借りするときにセーブデータをどうするかという問題は、セガサターンのおかげで解決されました。
とはいえ、セガサターンの本体に保存する場合、本体の電池に1~2年程度の寿命があり、電池交換でセーブデータが消えてしまうため、データを大切に取っておきたいプレイヤーには、パワーメモリーは重宝する拡張機器でした。
また、パワーメモリーは、寿命が長く電源を落としてもデータが消えない、フラッシュメモリで出来ています。
現在でもフラッシュメモリはSDカードなどで使われていますし、スマホゲームの大きすぎるデータを、購入した大容量のSDカードに移した、という方も多いのではないでしょうか。
それをセガは「10年早い」どころか30年前にやっていたのです。
ただし、拡張RAMカートリッジとパワーメモリーは、同じ挿入スロットを使用するため、拡張RAMカートリッジ必須のソフトをプレイしているとき、そのままパワーメモリーにセーブするということは出来ませんでした。
なお、同梱されている専用のパワーメモリーを使わなければセーブできない「セガサターンで発見!!たまごっちパーク」というソフトも存在しています。
インターネット接続機能
セガサターンには、家庭用ゲーム機の中では当時としては画期的なインターネット対戦機能がありました。
セガサターンでインターネットを利用するためには、セガサターンモデムと呼ばれる専用の接続機器が必要でした。
セガサターンモデムとセガサターンネットワークス
セガサターンモデムは、アナログ電話回線を使ってインターネットを楽しむための拡張機器で、カートリッジスロットに装着します。
利用するためには、モデム本体にメディアカードと呼ばれるプリペイドカードを挿入する必要がありました。
メディアカードは購入した時点で100度数あり、利用したサービスによって度数を消費していき、それでいて通信に使った電話代は別途かかってしまうという、当時のネットゲーム全般に言えることですが、なかなか財布に厳しい設計でした。
なお、通信速度は14.4kbpsとなっており、今のどこでも誰でも気軽にスマートフォンでネットゲームを楽しめる環境を考えると、時代の移り変わりによる技術の進歩を感じさせます。
その他の拡張機器
その他にも、セガサターンには様々な拡張機器が存在していました。
ゲームではなく、映像を記録したディスクを鑑賞することができる機器など、後のハードでは当たり前になった機能にゼロから挑戦している、セガの「10年早さ」が窺えます。
フロッピーディスクドライブ
パワーメモリー以外の外部記憶装置として、「フロッピーディスクドライブ」がありました。
本体は電池切れでセーブデータが消えてしまうのは先述の通りですが、パワーメモリーも稀に接触不良や抜き差しでセーブデータが読み込めなくなってしまうという現象があり、最も安定性があるメディアとして信頼されていました。
カートリッジスロットではなく、背面の端子に接続するため、拡張RAMカートリッジやインターネットモデムを装着している際、本体の容量だけでは足りない、でもつけ外しが面倒、といった場合にも活躍しました。
フロッピーディスク自体も2024年に法律から記録媒体の指定が廃止されるなど、既に懐かしいアイテムになってしまいましたよね。
ムービーカード
他にも、セガサターンでビデオCDを観るときに必要な、「ムービーカード」という拡張機器もありました。
こちらは本体背部の拡張スロットに接続することで利用でき、本数は少ないながら、作中にアニメムービーを使用しているため、ムービーカードがなければ遊べない、専用ゲームも存在していました。
フォトCDオペレーター、電子ブックオペレーター、そしてツインオペレーター
先に読み込ませて、トップ画面が出てから入れ替えることでフォトCDを閲覧できるフォトCDオペレーター、同様の仕様で電子ブックCDを閲覧できる電子ブックオペレーターがありました。
後にムービーカードとフォトCDオペレーターの機能が合わさった「ツインオペレーター」という周辺機器も発売されています。
マルコンことセガマルチコントローラー
また、拡張機器といえば、コントローラに関しても「マルコン」こと「セガマルチコントローラー」が発売されました。
こちらは1996年、任天堂が発売した当時の最新ハード、ニンテンドウ64に同梱されたコントローラに初搭載されたアナログスティック、「3Dスティック」に対抗するため発売されたものです。
このコントローラは、それ自体が拡張機器でありながら、背面の拡張ソケットに、更に拡張機器が取り付けられるという画期的なものでした。
しかし、残念ながらその拡張ソケットが使われることはありませんでした。
数々の10年早い拡張機器を発売してきたセガだけに、どんな拡張機能が考えられていたのか、想像してみるとワクワクしますよね。
もしかすれば、翌年、ニンテンドウ64のコントローラに拡張機器として実装され、競合機のプレイステーションにも標準装備された振動機能や、その上を行く予想外な拡張機能が、セガサターンで実現できていたかもしれません。
セガサターンのその後
そんな画期的な要素を多く採用したゲーム機、セガサターンですが、1998年には後継機のドリームキャストが発売され、2000年には本体の生産が終了してしまいました。
それでもなお、今でも愛してやまないファンがいるハードです。
そんなセガサターンの最も代表的なゲームといえば、本体と同時発売された「バーチャファイター」が挙げられるでしょう。
既にアーケードで稼働していたゲームの移植でしたが、ただでさえ当時は3Dの格闘ゲームが革新的であったのに、それが家庭用ハードで遊べるというので大変衝撃的でした。
現在の格闘ゲームといえば、過去に2D表現だった有名シリーズも3Dに移行しているほど、3Dであることが当たり前になっていますよね。
そんな3D格闘ゲームの先陣を切ったのも「10年早い」セガなのです。
ちなみにセガが「10年早い!」と言われるようになったきっかけは、このバーチャファイターの登場キャラクター、アキラの勝利台詞である「10年早いんだよ!」から来ています。
そのバーチャファイターは続編の「バーチャファイター2」も移植され、こちらはセガサターンのゲームソフトで唯一の100万本を達成するメガヒットタイトルとなりました。
しかしながら、「10年早い」ことだけが良いことではないという側面もまた存在しています。
セガサターンのパワーメモリーに対し、プレイステーションのメモリーカードは半額以下でコンパクトでしたし、ニンテンドウ64のコントローラは、セガサターンのマルチコントローラーのような拡張ソケットを上手く使いこなしていました。
インターネットを利用した通信対戦も、画期的ではありましたが、当時の通信環境を考えると無謀な挑戦であったように思えます。
結果として、売上はプレイステーションが1億240万台、対するセガサターンは926万台となってしまいましたし、そういった早すぎる挑戦でゲームプレイのハードルが高く映ってしまい、ライトなユーザーを遠ざけてしまったところもあるかもしれません。
ただし、そんな挑戦の数々が今日の我々の快適なゲーム体験を切り拓いてくれたことは間違いないでしょう。
セガサターンは、現在では、なかなか触れることが難しいハードですし、同社が発売したハードのメガドライブなどで行われているメガドライブミニのような、過去ハードの復刻なども行われていません。
周辺機器がなければ遊べなかったゲームもまとめて遊ぶことができる、セガサターンミニのような復刻ハードが出たら、そのときは「セガサターン、シロ!」と周囲の人にオススメできるハードであったことは間違いありません。
もしかすれば、それが「10年後」になるかもしれませんが、その瞬間をいつまでも待ち続けたい気持ちです。
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