アイテム情報
■発売日
1994年12月3日
■概要
『スーパー32X』は、『メガドライブ』の性能を次世代レベルに引き上げるための拡張ユニットです。定価は16,800円。
アメリカ市場では『Sega Genesis』（海外版メガドライブ）がシェアを築いていたため、テコ入れとしてセガ・オブ・アメリカ（SOA）主導で開発されました。
本体のカセットスロットに直接挿し込むことで、『メガドライブ』に32ビットのグラフィック表現と高速処理能力を可能にします。
全てのアップグレード機器を取り付けた"完全体メガドライブ"ともいえる、「メガドラタワー」を構成する主要な周辺機器となっています。
すでに日本では、次世代機『セガサターン』発売していた関係から、その市場での立ち位置は複雑でした。
それでも、『メガドライブ』の可能性を極限まで引き出したセガの職人魂と、他では類を見ない独自製の高い周辺機器としてファンから愛されています。
■性能
メインCPUとは別に、日立製SH2 32ビットRISCチップを2基（デュアル構成）搭載しています。
このうちの1つをVDP（今でいうグラフィックチップ）として稼働させることで、当時の次世代機に匹敵する処理能力を実現しました。
主にアーケードの移植である、専用ソフトである『バーチャファイター』や『バーチャレーシング デラックス』などに活かされ、『メガドライブ』では不可能だった滑らかな3Dグラフィックを可能にしました。
本体には、『メガドライブ』の映像と32Xの映像を合成するためのライザーボードが内蔵されており、その仕組み上、複雑な配線接続が必要となっていました。
また、『メガCD』と一緒に使用する際、合計3個の巨大なACアダプターを使用することになり、コンセント周りを圧迫します。
海外では、この仕様を考慮して専用のマルチタップ『Sega Power Strip』も発売されています。
■評価
『スーパー32X』は、その優れた性能にもかかわらず、次世代機『セガサターン』の発売と時期が重なったことで、半ば「自滅」した形になりました。
発売期間が短く、専用ソフトのラインナップも20本前後に留まったため、「迷機」として語られることもしばしばです。
しかしマニアの間では、日本の本体で動作しない海外版を遊ぶために重宝されることもあります。
※『Genesis』にはエリアリージョン（地域制限）が設けられています。ただし回避できるのは北米版ソフトのみで、映像方式が異なる欧州版などは動作しません。
さらに、『メガCD』と『スーパー32X』を同時に使用する『Sega 32XCD』（日本未発売）のタイトルもわずかに存在。
現在では、セガハードマニアやディープなレトロゲーマー達の垂涎の一品といえるでしょう。
■トリビア
『スーパー32X』に関する最も有名なトリビアの一つが、未発売に終わった複合機『Sega Neptune（セガ・ネプチューン）』です。
『Sega Neptune』は、『メガドライブ』本体と『スーパー32X』の機能を、初めからひとつの筐体に統合することを目的としたコンセプトモデルでした。
ユーザーが煩雑な拡張ユニットの接続や、複数のACアダプタの使用を強いられることなく、手軽に32ビットゲームを楽しめるように設計されていました。
しかし、すでに次世代機であるセガサターンの開発と販売が本格化していたため、社内のリソースや市場の状況を鑑み、『Sega Neptune』は試作段階で開発中止となりました。
この幻のハードは、後にコンパイルハートのRPG『超次元ゲイム ネプテューヌ』の主人公の元ネタとしても有名です。
