
アイテム情報

■概要
1988年に登場した、『ファミコン』を電話線に接続することで様々な通信を可能にするアダプターです。
その用途は多彩で「証券取引」や「馬券購入」、「ホームバンキング」等多岐に渡ります。
またプリンターに接続して、情報の印刷をしたりすることができたようです。
「ゲーム機」としての側面が強い『ファミコン』ですが、「コンピューター」としての運用が試された珍しい周辺機器と言えます。

■通信カートリッジとは
本機は通信アダプタだけでは起動できず、専用のカートリッジが必要になります。
「馬券購入」であれば、FCN-027「JRA-PAT」、「証券取引」に使用するFCN-000-05「ファミコンアンサー」等、用途別にたくさんの種類が存在します。
特に興味深いのが、FCN-000-08「スーパーマリオクラブ」です。
これは、小売店専用のユーティリティで任天堂から配信される最新のゲーム情報や、実際に店頭に来た顧客が「ソフトのレビュー」を投稿できる機能もあったようです。

■「ホームバンキング」とは
自宅にいながら残高照会や振込振替の資金移動ができる「ネットバンキング」の先駆け的なシステムです。
仕組みとしては、NTTデータが1981年にリリースした決済ネットワークサービス「銀行ANSERシステム」を利用しています。
当時の新聞によると、50近くの大手銀行・地本銀行が参加していたようで、大規模に展開しようとしていたことがうかがえます。
ちなみに、銀行ごとに型番の違う「通信カートリッジ」が存在するため、コンプリートするのは間違いなく骨が折れるでしょう。

■オンライン対戦も!?
90年代には、コナミ開発の『通信将棋倶楽部』と『通信囲碁倶楽部』というソフトがリリース、『通信アダプタ』幻のゲームとされています。
関係者曰く、「当時の任天堂の社長である山内溥氏が囲碁好きであったことがきっかけで話が進んだ」とのこと。
しかし『通信アダプタ』の回線使用料が非常に高額だったこともあり、多くのプロジェクトが中止になったようです。
実際にどの程度のアクティブユーザーが対局に使用していたのかはわかりませんが、ゲーム史における貴重な出来事だったことは間違いないでしょう。