「小規模プロジェクト」といえば、聞こえはいいが…

アルファ電子コラム第26回のイラストです

会社を回していくには大作を作るチームばかりでは成り立ちません。
小刻みに収入を得られる『低予算・短期プロジェクト』のチームも必要不可欠です。
ADKにも大艦巨砲みたいな格闘ゲームを作っているチームの陰で、砲台のような小さなチームが活動していました。
今回の『知られざるアルファの世界』はそんな想い出語りです。

◆ 鳩野さんにもうちょっと聞いてみました! ◆

・仮に予算とスケジュールのどちらかを増やせるとしたら、どちらを選びますか?

難しい選択ですね。
T4-Xに限って言えば、ほぼほぼ最低限の人数で回していましたから。
こと『ポケットウォーク』に限って言えば、開発は私とプログラマーの石井くんとのマンツーマンでしたし、削れる要員がいません。
仮に人員を増やしてスケジュールが短くなるかと言えば、ならないので…(笑)。

ただ、「たられば」ではありますが、企画1人・グラフィック1人・プログラマー1人のチームで、という条件下でしたら、間違いなく企画がグラフィックを兼任してスケジュールを伸ばします。
スケジュールの短さはデバッグ期間が犠牲となり、品質管理の面を疎かにしますから。

・T4-X企画のシリーズは社長案だったそうですが、この企画が事前に相談または依頼されることはありましたか?

私には特になかったかなぁ。
気が付けば動いていたプロジェクトといった感じでしたね。

・低予算企画の中で一番マシだったものは何ですか?

全部ひっくるめてなら『ティンクルスタースプライツ』ですね。
なんでかんで最終的には戦力が整いましたし、スケジュールも伸ばせましたし、人気もある程度出ましたからね。

T4-Xに限ってとすると、コナミさんに販売して頂いた『ダンジョンクエスト』になるのかな。
買い手が付くと赤字にはならないですからね。
もちろん売り手側からの無茶振りを聞かないといけない大変さはありますが。

・一番きつかった企画は『ポケットウォーク~東海道版~』だと思いますが、それ以上のもの、また同じくらいきつかったものはありましたか?

どれもこれも低予算プロジェクトはキツいですよ(笑)。
でも、『ポケットウォーク~東海道版~』は、ハナから決まっていた予算・スケジュールを全く変えられないという点で言えばADK唯一の作品なので、一番となるとやはりそうなりますね。
違うベクトルで大変だったのは『押し出しジントリック』ですね。
当時、会社の経営が大きく傾いていて、給料に『能力査定』という謎な制度が行われていたのですが、Playstationゲームソフトチームと格闘ゲームチームが優遇されていて…。
ジントリックはもろにその煽りを受けましたね。

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著者紹介
鳩野 高嗣 (はとの たかし)

フリーランスのゲーム制作者・グラフィッカー。 タイヨーシステム(カルチャーブレーン)~アルファ電子(ADK、フォンキャスト)~TENKY~dropといったキャリアを経て、現在に至る。
アルファ電子には1986年から2001年まで在籍しており、同社の黄金期から末期までの歴史・実情を知る人物である。 関わった作品は『ラギ』『痛快GANGAN行進曲』『ワールドヒーローズパーフェクト』『テニスの王子様-SWEAT&TEARS-』シリーズ、『マイネリーベ2』など多数。

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