入院していたときのこと

アルファ電子コラム第23回のカットです

入院中していると、身体の痛さ以外で敵になるのは『ヒマ』です。
テレビは一応あるのですが、お金が掛かるので観る番組を選択しないといけません。
なので、一番ありがたいのは本ですね。お返しとかも考えなくていいですし。
私も一時期は瀕死でしたが(枕元にお寺さんの電話番号のメモがありました)、その時、まさか会社も瀕死だったとは思いもしませんでした。
今回の『知られざるアルファの世界』はそんな想い出語りです。

◆ 鳩野さんにもうちょっと聞いてみました! ◆

・今回、初登場となる苗村さんはどのような方ですか?

プログラマーのチーフ的な方でした。
代表作は『ワールドヒーローズ』シリーズの全作品で、いずれもメインプログラマーでした。

・入院中の楽しみはやはり野球観戦でしたか?

病院は消灯が早い上に、テレビカードも割と高いので、プロ野球中継の他は『それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』と『魔装機神サイバスター』くらいしか観ていませんでしたね。プロ野球は休憩所の大型テレビでも観られている方が多かったのですが、ジャイアンツファンが多くて…(笑)。

・病院にはどれくらいの期間いたのでしょう?

4月16日に入院して5月16日に退院しました。
当時、ギラン・バレー症候群は謎の多い病気で『完治』という概念がありませんでした。
その為、1ヵ月でほぼ完治に近い状態で退院というのは前例の無い早さと言われました。
もしかしたら、当時の世界記録だったかもしれないですね。
退院の日、女性の看護師さんから「転院してきた時には絶対に助からないと思った」と吐露されました(笑)。

・ADKが大変なこと(業績不振、社員の削減など)になった要因は何だと思いますか(一説には円高の影響と言われていますが…)? また、当時(入院前)でもそのことには気がついてましたか?

■1・円高
円高はその1つですね。海外に売っても利益がほぼほぼ出ないのですから。

■2・在庫ロム
『ワールドヒーローズ2』から在庫ロムを抱えていたのですが、『ワールドヒーローズ2 JET』で在庫がシャレにならないくらいまで膨らんでしまった事も大きいですね。

■3・アーケードゲームが売れなくなっていった
あとは純粋にアーケードゲームが売れなくなったという事。『ワールドヒーローズ』級のヒット作が出なかった事も大きいですね。
でも、『痛快GANGAN行進曲』は国内外合わせて5万5000本ですから、格安値段のMVSでさえなければ大ヒットのはずなんですけれど(笑)。
ゲームが売れなくなった原因として、メジャーな対戦格闘ゲーム続編以外に食いつかなくなったプレイヤーの保守化も痛かったですね。

■4・人件費
そして増えすぎた社員数も大きな要因でした。

■5・SNKからの借金
いつの頃からかは明確には分からなのですが、SNKからの借り入れが出来てしまい、ネオジオポケットのソフトを提供する契約になりました。
1本辺りの開発費の2000万円はSNKが発注する代わり、売り上げの一部は借金の返済に充てなければなりませんでした。

これらは入院前から気付いていましたが、社員数が社長と経理を入れて30名以下になってしまうとは予想外でした。

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著者紹介
鳩野 高嗣 (はとの たかし)

フリーランスのゲーム制作者・グラフィッカー。 タイヨーシステム(カルチャーブレーン)~アルファ電子(ADK、フォンキャスト)~TENKY~dropといったキャリアを経て、現在に至る。
アルファ電子には1986年から2001年まで在籍しており、同社の黄金期から末期までの歴史・実情を知る人物である。 関わった作品は『ラギ』『痛快GANGAN行進曲』『ワールドヒーローズパーフェクト』『テニスの王子様-SWEAT&TEARS-』シリーズ、『マイネリーベ2』など多数。

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