ゲームの無線通信というと皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?
「通信距離が短い」
「データの送受信が遅い」
「通信が不安定」
しかし、ADKが開発中だったネオジオポケットの無線ユニットは常識外のスペックでした。
その理由は……?
◆ 鳩野さんにもうちょっと聞いてみました! ◆
・ネオジオポケットの設計は別の会社だったのに、どういう経緯で無線ユニットの設計をすることになったのでしょうか?
SNKからの依頼です。
それがSNKのハード課では技術的に手に負えなかったからなのか、人員が手一杯だったからなのか、そこまでは分かりません。
・どうしてアンテナ部分は一般的な伸縮式のものでなく、ぶらさげる形のものになったのでしょう?
スペック上の理由です。
一時期はロッドアンテナ式の方が見た目がいいという理由で採用され掛けましたが、通信距離を延ばす為に最終的にはぶら下げ式の物で行く事になりました。
・無線ユニットに対応したソフトはあまり出ませんでしたが、アルファ電子で企画していたゲームはどれくらいありましたか?
ADKでは『パーティーメール』だけでした。
無線ユニット対応だと思わぬバグが出て(『ダイヴ アラート』では通信対戦すると双方が勝者になったりしました)、開発時間が余計に掛かるんですよ。
当時、1作品あたり2000万円という開発費(その中からSNKからの借金もいくらか返済する形)でしたから、余計な部分は切っていくしか無かったという台所事情がありました。
・法律やコスト、スケジュールなど、商品開発に関わる制約で「これさえ無視できれば…」と一番強く思うものは何ですか?
何は無くても『予算から割り出されたスケジュール』ですね。
ネオポケに限って言えば、容量が少ないのでデザイナーの人数は少なくても何とかなるんですよ。
人が多ければ早く終わるといういう訳でもありませんし。
そうなると、やはりスケジュールで犠牲になりがちなのはデバッグを含めた完成度ですから、そこは何とかしたかったですね。