レトロPCコレクター布施氏

コレクター偉人伝第1回は布施王子様です。

レトロPCゲームだけで3000本超えのコレクションを支えるモチベーションの原動力とは・・?

素敵なエントランスに広い玄関、きっとおしゃれなリビングが・・・と思いきや、居間に続く廊下は一面、PCエンジンやドリームキャストのソフトに埋め尽くされ、さしずめ図書館の書架。居間に入れば、そこには現在研究中のレトロPCのソフトやマシーンが鎮座している。このゲーム屋敷に住むのは、レトロゲームの歴史と魅力を後世に伝えたいと個人で研究をすすめる男性。これまでに集めたソフトは約5000本。そのうちレトロPCのソフトだけで3000本以上あるとのこと。数もさることながら、箱の状態から付属品にいたるまで、状態の良いものを選りすぐって、保存にもかなり気を使っている。袋に入れられ、棚に几帳面に収められたソフトから、シリカゲルと除湿機が24時間守り、日光から守られた保存用の棚々にきれいに並べられたPCソフトの紙パッケージ類など、家の中は生活スペースよりもゲームを守るためのスペースが優先されている。

BEEPより:私も本当に多くのお客様のコレクションルームを拝見させていただいていますが、はっきりいってかなり綺麗に整頓されているレベルだと思います。湿度と太陽光管理までされているとのことで、パーフェクトだと思います。

ENIX社員もびっくりでしょう・・。

もちろんソフトだけでなくマシーンや雑誌もあり、場所をとるばかりの大きなPC-88やFM-7などの機械類が、ざっと30台近く小さな六畳の和室に収められている。

本人いわく、こういったマシーンはあくまでもソフトを動かすために集められたものであって、コレクションではないとのことだが、それにしても同居している人間には、場所をとるいかついマシーンのインパクトは大きく、いつみても圧倒される。
棚の中に順番に収められた800冊の雑誌は、80年代のパソコンとゲームの歴史を知る重要な資料。本文の記事のみならず、中の広告やチラシがとても貴重だという。
そんな彼がもっとも思い入れ強く集めたPCエンジンのソフトは、現在全ソフトが廊下の棚の中にそろっている。
もちろん、3000本以上あるレトロPCのソフトの保存にも熱心で、ファルコムの「ぱのらま島*1」やシステムソフトの「珊瑚海海戦*2

といったレアなものを保管するほか、たとえば一つのゲームタイトルでも、バージョン違いや型番違いがあれば、それらすべてを保存するため、エニックスの「東京ナンパストリート」など8本のバージョン違いがそろえられている。

*1 レアソフトである、10万円以上の落札価格で毎回落札される恐るべきソフト。遊撃手などで話題になった。
*2これまたレアではあるが、選定が渋い。

膨大な数のソフトはデータベースで管理、メンテナンスが施されており、室内の温度や湿度もしっかりコントロールされている。棚の間を自由に歩き回るのは猫のマカロンで、まさにねずみ一匹通さない管理体制。

自宅の部屋部屋とパートナーの生活スペースをやや犠牲にしつつ研究に打ち込む彼だが、時間のかかるデータの管理やメンテナンスを自らの生業とは別に続けているのは、ゲーム文化に対する深い思いと、後世に文化を伝えようという熱い意気込みがあるからだ。

 

諸外国では徐々に、ゲームの博物館ができるなど、公共レベルで、ゲームを文化の一ジャンルとして認め、研究保存する動きがでてきている。ここ日本では、最近は漫画が文化として研究されだしてはいるが、ゲームについてはまだまだ保存に対する気配りが薄く、このままでは、いずれ大昔の浮世絵のごとく、気が付けばゲーム文化財の大半が海外に、なんてこともありえる。彼は、ここ日本で、ただでさえ放っておけば、汚い箱とともにこの世の中から消えていってしまうであろうゲームを守り、紙パッケージから箱の中のアンケート葉書きまで、できるかぎり当時の状態で保存することを目指して地道な作業を日々繰り返している

 彼が行うこういった作業のすべては、ただ単に自らの趣味の研究のためだけに繰り返されているわけではない。

もちろん、本人も楽しんでやっているわけだが、彼はいつも、未来の研究者たちのために、という自らの信念を口にしている。将来(60年後?)、文化や歴史といった研究分野の中でこうしたゲームを研究対象にする人々がきっと現れる、そのとき、こういったゲーム文化財を彼らに引き継いでいけるように。彼は熱い思いを抱いて、今日も、部屋を狭めるゲームの山の中で、未来のために、痛んだディスクの黴取りをしている。

最後に・・

こうした彼の活動に興味があり、何らかの形で研究に協力できる方がいらっしゃれば、お気軽にご一報ください。
今後もこうした研究を続ける予定でいますが、協力者の方々のご助力が
あれば、より豊かな研究になるかと思います。 
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バブルボブルは同居人お手製だとか!

BEEPより:いやーどうでしたか?第1回にしていきなり凄い人に登場してもらえて嬉しい限りなんですが、この心意気は凄いですよね。
恐らく本当に好きでコレクターをやっている方ならこの記事を読んで一度自分の活動を振り返る様な気持ちになったはずです。
ゲーム関連もコンシューマではカフェ文化やニコ動文化と絡んでサブカル系イベントもよくあるみたいですが、確かに文化保護という
観点では現在殆ど先駆者が存在しない状況ですよね。私も日々、レトロPC関連を買い取り、販売していますが、その以前にイチファンとして50年先もまた携わっていられたらと思います。布施様有り難う御座いました!

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