1990年代といえばCD-ROMという大容量メディアの普及に伴い、CD-iや3DOといった「マルチメディア機」が台頭した時代でした。
パソコン業界でもCD-ROMドライブの搭載がステータスとなり、実写やアニメーションをふんだんに取り入れた「ムービーゲーム(インタラクティブ・ムービー)」が一大ブームを巻き起こしましたね。
後に『ファイナルファンタジー』のような大作RPGでもCGムービーが採用され高く評価されましたが、実写やアニメを使った当時の実験的なタイトルの多くは、残念ながらあまり振るわず、その多くが歴史に埋もれてしまいました。
今回は、埼玉県所沢市のお客様よりお譲りいただいた、「教育ゲーム」+「ムービー」+「2次元アニメ」が融合した、光栄(現:コーエーテクモゲームス)の異色作をご紹介します。
光栄『EMIT(エミット)』シリーズとは?
『EMIT』は、歴史シミュレーションゲームで知られる光栄が「イングリッシュドリームシリーズ」の第1弾として発売した、英語が学べるアドベンチャーゲームです。
シナリオは『三毛猫ホームズ』シリーズや『セーラー服と機関銃』を手掛けた大御所作家の「赤川次郎」氏。
音楽・主題歌は、『恋しさと せつなさと 心強さと』で大ヒットを飛ばすことになる「篠原涼子」氏と「小室哲哉」氏のタッグ。
さらにキャラクターデザインは『テイルズ オブ』シリーズなどでお馴染みの「いのまたむつみ」氏が担当するという、異常なまでに豪華な制作陣でした。
プラットフォームの展開も幅広く、PC版はAppleの「Macintosh」、富士通の「FM TOWNS」、そして今回お譲りいただいた「PC-9821」の3機種で同時発売されました。全3巻編成となっており、のちに全巻をまとめた「バリューセット」も登場しています。
また家庭用ゲーム機でも、初代PS、セガサターン、3DO、そしてなんとスーパーファミコン(SFC)でもリリースされました。
ちなみにSFC版はCD-ROMユニット(任天堂プレイステーション)が発売中止になったので、手持ちの音楽CDプレイヤーと連動させるための専用周辺機器「ボイサーくん」が付属するという、なかなかの「無茶移植」っぷりを発揮していました。
vol.1「時の迷子」
1994年3月25日に発売された記念すべき第1巻です。
主人公の女子高生「田中百合」(CV:林原めぐみ)が、時計屋を探している「謎の老人」(CV:安原義人)と出会い、彼が口にした「EMIT(エミット:TIMEを逆から読んだもの)」という言葉を巡って時間を旅するSFストーリーが展開されます。
冒頭、老人が百合に対して「時計屋が近くにないか」と尋ねるシチュエーションから始まるのですが、この日常会話の入り方が実に英語の教科書(教材)っぽいですよね(笑)
ゲームは1巻につき全10章のチャプターで構成されています。
最大の特徴は、日本語と英語の音声・字幕を自由に切り替えられ、本格的なリスニング練習ができる点です。
林原めぐみさんの声で物語を楽しみつつ、章の合間に挟まるクイズでしっかり学習要素もカバーしている、非常に真面目な作りのソフトでした。
vol.2「命がけの旅」・vol.3「私にさよならを」
その後、2-3か月間を開けて1994年7月1日に第2巻が、1994年9月18日に完結編となる第3巻が発売されました。
物語はさらにスケールアップし、百合のボーイフレンドである「太田一郎」(CV:速水奨)や「百合の母親」を巻き込みながら、もうひとりの「百合」の正体や、本物の「百合」の行方を巡ってストーリーが交錯していきます。
実はこの『EMIT』シリーズ、各ハード共通して「第1巻」は中古市場でも比較的よく見かけるのですが、2巻・3巻となると途端に見かけません。
英語学習とアドベンチャーを融合させた独特すぎる内容ゆえに、最後まで追いかけて購入を続けたプレイヤーが少なかったため、全体的にレア度が高くなってしまったのではないかと推測されます。
それに加えて、今回お譲りいただいた「PC-9821版」は、当時としてはまだまだ高額だったCD-ROMドライブ搭載のPC98本体(Canbeシリーズなど)の環境が必須だったこともあり、完品で全3巻が揃っている状態は非常に貴重です!
※ちなみに、プレイステーション版は個別パッケージでのバラ売り販売は行われず、全巻セットの『バリューセット』のみでの販売でした。ですので、こちらもなかなか見かけません。
まとめ
光栄といえば『信長の野望』や『三國志』などの歴史シミュレーションゲームが有名ですが、今回のような教育ソフトや少しニッチなタイトルも含め、昔の古いPCソフトはBEEPの最も得意とする分野です。
『歴史シミュレーション』シリーズは通常版だけでなく、カセットテープやCDが付属する「サウンドウェア版」などの貴重なバージョン違いもしっかりと見極め査定させていただきます。
また、本作のように「全巻(シリーズ)がコンプリートされた状態」でお持ち込みいただいた場合、コレクション性を高く評価し買取額をプラス(増額)させていただくこともございます。
ご自宅に眠っているPC-98、FM TOWNS、X68000などのレトロPCソフトがございましたら、ぜひレトロPC・ゲーム専門店のBEEPまでお気軽にご相談ください!









