【宅配買取】VR黎明期に登場したHMD『StuntMaster』をお譲りいただきました

     

「Meta Quest(旧Oculus)」や「PlayStation VR」をはじめ、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)が一般のエンターテインメントとして流通している現代。
メタバース市場の盛り上がりとともに、仮想空間への没入はかつてないほど身近なものになりました。

しかし、時計の針を大きく巻き戻すこと1993年。
人類がようやく「バーチャルリアリティ(VR)」という概念に大きな夢とロマンを馳せ始めた時代に、その最先端(?)を突っ走っていた伝説のHMDがBEEPに入荷いたしました!

今回は茨城県水戸市のお客様より宅配買取にてお譲りいただいた、時代を先取りしすぎた魅惑の周辺機器をご紹介します。

Victormaxx StuntMasterとは

1993年8月20日にアメリカのVictormaxx社からリリースされた家庭用ゲーム機向けHDMです。
サイバーパンクな世界から飛び出してきたような近未来的な本体シェルが特徴となっています。

定価は約220ドル(当時の日本円換算で約24,400円前後)で、スーパーファミコンの本体がもう一台買えてしまうレベルの高額な周辺機器でした。

パッケージには誇らしげに「Works with most super nintendo games and sega genesis(スーパーファミコンとジェネシスのほとんどのゲームに対応!)」と謳われています。

しかし悲しいかな、装着したからといってゲーム画面が3Dになるわけではありません。
加えて、専用ソフトなども存在しない仕様でした。

注目したいのは、本機に付属している解説書です。
なんとメーカーであるVictormaxx社(を擬人化したもの?)の「履歴書(自己紹介)」が掲載されていました。

そこには将来の目標として「自身の創造的スキルとVRノウハウを展開し、画期的なヘッドセットを製造すること。それによって世界的なVR帝国を築き、最高出力のパワー(マックス・パワー)と自己肯定を達成する」といった、大真面目なのか冗談なのか分からない珍妙な野望が書き連ねられています。

当時の「過大広告に満ちた周辺機器」がいかにハッタリと夢に溢れていたかを知ることができる、資料的価値の高い一品です。
※見た目だけは最高に格好いいんですけどね(笑)

実際の性能

「VR」の看板を掲げて登場した本機ですが、その中身は現代のVRとは大きく異なります。

のちに任天堂が発売する「バーチャルボーイ」のような立体視ギミックは一切なく、本機の内部で行われているのは「ゲームギア」と同等クラスの解像度の液晶モニターに、ゲーム画面をそのまま映し出すというもの。
つまり、ただ「ゲーム画面を至近距離で見つめるマスク」ということです。

ゲーム機以外にも、一応PC(DOS/V等)への接続も想定されていたようなのですが、当時の周辺機器らしく接続方法やセットアップが非常に複雑。
現代のようにUSB一本で認識するはずもなく、まともに遊べる環境を構築するだけでもマニアックな知識と多大な労力を要します。

加えて、セガのメガドライブ(Genesis)に接続する場合、初期型メガドライブやマスターシステムに採用されていた旧タイプのDINビデオ端子にしか対応していません。
そのため、のちに普及した小型の「メガドライブ2」では使用できないという罠も存在します。

内部の液晶や電子部品の兼ね合いから、本体重量は文字通り「Maxx」!!
装着すると鼻に対してすさまじい負荷がかかるため、長時間の快適なプレイは物理的におすすめできません(笑)

まとめ

『StuntMaster』が登場後、翌年の1994年には、横浜ジョイポリスに大型VRアトラクションの先駆者となる『VR-1』が誕生します。
さらに1995年には任天堂から「バーチャルボーイ」が登場し、お茶の間での「真の立体視」への挑戦が本格化していきました。

Victormaxx社が掲げた「どんなに困難な状況にあっても、夢を追求しなければならない」という人生哲学は、荒削りながらも「俺たちが一番最初に未来を形にするんだ!」という、当時の開発者たちの凄まじい熱量と勢いの表れだったのかもしれませんね。

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