「FPS(ファーストパーソン・シューティング)」というジャンルを一気にメジャーへと押し上げ、あらゆるプラットフォームに移植され続けている伝説のタイトル『DOOM(ドゥーム)』。
今回は、日本国内でもごく少数のみ輸入販売された3DO版を東京都千代田区のお客様よりお譲りいただきました。
めったに見かけないバージョンになりますので、当時起こった地獄のエピソードを深堀しつつご紹介したいと思います。
DOOM(ドゥーム)とは
もはや説明不要かもしれませんが、『DOOM』は宇宙海兵隊員(通称:ドゥームガイ)を操作し、火星に突如現れた地獄の悪魔たちをハイテンションに抹殺しながら脱出を目指すSFホラーシューティングです。
多種多様な銃火器、当時の基準としては最高レベルの残虐(ゴア)演出、そしてプレイを盛り上げるノリノリのヘヴィメタルBGMが融合した傑作です。
PC(DOS版)での大ヒットを皮切りに、スーパーファミコンやスーパー32Xといった家庭用ハードにも次々と移植され、世界的なブームを巻き起こしました。
移植の際は各ハードの性能に合わせて独自のアレンジされることも多く、特にPlayStation版の「BGMを変更し、よりホラーテイストを強調したアレンジ」は今なおファンから高く評価されています。
3DO版の開発は「Art Data Interactive」という会社が移植の権利を獲得したことから物語が始まります。
当初の企画では、オリジナル武器の追加や3DOというハードの特性(マルチメディア機)を活かし、作中に登場するボス「サイバーデーモン」などを実写で描くオリジナルムービーを挿入する予定でした。
しかし、資金難や計画不備によって撮影は途中で打ち切られることになります。
原因はArt社側の「ゲーム開発への見通しの甘さ」だったと言われており、結局は先に発売されていたATARI Jaguar版のプログラムをベタ移植する方針へと切り替えられました。
なんとか完成するも「ギリギリ動いている」というレベルで、一部の熱狂的なファンからは「最悪の移植版」という不名誉なレッテルを貼られています。
3DO版の特徴
先述の通りかなり動作に問題があり、描画負荷を減らすために小さく縮小されたゲーム画面と、平均10FPS前後で動作する「悪魔」のような超モッサリさでプレイヤーを落胆させました。
移植度はお世辞にも褒められない本作ですが、唯一にして最大の評価点が「BGM」です。
Art社の私設バンドによるヘヴィメタルの生演奏アレンジは、数ある『DOOM』移植版の中でもトップクラスのクオリティを誇ります。
また、日本国内では代理店の「バショウハウス」を通じて1996年4月26日に輸入販売されました。
海外版の英語説明書に加え、日本独自の「DOOM攻略ハンドブック」も付属しています。
担当者のバショウハウス加藤氏による「情熱と哀愁」がこもった納品書のメッセージは、当時のゲームシーンの裏側や大人の事情が読み取れる歴史的価値の高い資料となっています。
開発秘話とトリビア
このプロジェクトを語る上で欠かせないのが、担当プログラマーである故「レベッカ・アン・ハイネマン」氏の存在です。
彼女は、パブリッシャーから「10週間で仕上げろ」という常軌を逸した無理難題を突きつけられ、なんとワンオペ(一人)で開発を完遂させました。
とんでもない炎上案件を「なんとかゲームとして動く形」にまで持っていったその技術力と根性は、ファンや開発者の間で今なお「伝説」として語り継がれています。
ちなみに、裏技で画面をフルスクリーンに拡大できますが、ただでさえ重いゲームがさらにプレイ不可レベルで激重になります。
これは、未発売に終わった次世代機「3DO M2」なら快適に遊べるだろうと、レベッカ氏が先を見越して仕込んだ隠し機能だったと言われています。
まとめ
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