1994年12月、PCエンジンの正統後継機として満を持して登場した『PC-FX』。
PCエンジン時代に得意分野としていた「美麗なアニメーションムービーの再生能力」を限界まで尖らせた結果、皮肉にも時代が求めた3Dポリゴンの大波に乗ることができず、当時の次世代機覇権争いからは一歩退く形となってしまいました。
しかし、その割り切った仕様がもたらした独自のソフトラインナップや、ハード全体が醸し出す独特な空気感は唯一無二です。
美少女アニメーションが広がる世界は、現代のスマートフォン向け美少女ゲームが市場の覇権を握る未来を、30年も前に予言していたハードだったと言えるのかもしれません。
今回はそんなPC-FXの歴史と魅力を余すことなく体感できる、全62タイトルのコンプリートセットを、神奈川県藤沢市のお客様より出張買取にてお譲りいただきました!
圧巻のコレクションから厳選した名作・レアタイトルたちを振り返っていきます。
目次
PC-FXとは
1994年12月23日にNECホームエレクトロニクスから発売された32ビット家庭用ゲーム機で、PCエンジンの思想を継承しつつ、「毎秒30フレーム動画再生能力」を実現したアニメーション特化のゲーム機です。
定価は49,800円と初代プレイステーションの39,800円と比較するとかなり高額でした。
当時の最先端パソコンを思わせるアイボリーホワイトとタワータイプの本体デザインはグッドデザイン賞も納得のカッコよさですよね!
ハードを代表する名作たち
『バトルヒート』
アニメーションに強いPC-FXの性能を世に知らしめたローンチタイトルです。
ルックスはまさに「世紀末救世主伝説」的な硬派で熱いテイストとなっています。
プレイヤーのコマンド入力に応じて、あらかじめ用意された高品質なアニメーションムービーが瞬時に切り替わって戦闘が展開する「ムービー格ゲー」という新ジャンルを確立しました。
以降、FXで発売される格闘ゲームの多くがこのシステムを踏襲することになります。
『銀河お嬢様伝説ユナFX 哀しみのセイレーン』
PCエンジン後期にキラータイトルとして市場を牽引した大人気「ユナ」シリーズの続編です。
ハードの発売1周年を記念したイベント等で非売品の体験版が配られるほど、メーカー側も並々ならぬ気合いを注いでいました。
そのためFXの展開終了後もシリーズは続いており、ライバル機の初代PSやセガサターンで続編が発売されています。
今回は製品版に加えて、体験版ディスクもいっしょにお譲りいただきました!
『超神兵器ゼロイガー』
美少女・ギャルゲー路線が強いPC-FXにおいて、唯一無二とも言える硬派な縦スクロール2Dシューティングゲームです。
キャラクター・メカニックデザインを『超獣機神ダンクーガ』などで知られる「山内則康」氏が担当しています。
その希少性と純粋なクオリティの高さから、現代のFXマニアたちの間で凄まじいプレミア価格で取引されている大人気ソフトです。
『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』
ハドソンの看板RPG『天外魔境』のキャラクターたちが参戦する、『バトルヒート』システムの格闘アクションです。
本来であれば、本命のナンバリングタイトルとして『天外魔境III NAMIDA』がPC-FXで発売される予定でしたが、度重なる延期の末に開発中止に……。
※最終的に2005年にPS2で発売されました。
結果として、本作がPC-FXで唯一遊べる『天外魔境』作品となってしまった、歴史的にも意味深い1本です。
個人的ピックアップの名作4選
『チーム・イノセント』
FXのアニメ再生能力と3DCGの背景を見事に融合させたSFアドベンチャーです。
画面構成や、ラジコン操作でエリアを探索していくシステムは、のちに大ヒットする『バイオハザード』を先取りしたようなプレイ感となっています。
随所に挿入されるハイクオリティなカットシーンが、SF映画さながらにストーリーを盛り上げてくれました。
『パワードールFX』
工画堂スタジオが手掛けた、人気本格シミュレーションゲームの移植作です。
PC版では非常に複雑だったシステムが、家庭用向けにほどよく簡略化され、遊びやすくなっています。
個人的には、あの重厚なオープニングアニメの「パワーローダーの降下シーン」が最高にかっこよく、起動するたびに飛ばさずに見入っていた思い出があります。
妙に余韻があるオープニング曲も合わせて印象深いです。
『Return to Zork(リターン・トゥ・ゾーク)』
世界最古のアドベンチャーゲームとされる名門『Zork』シリーズを再始動させた実写ADVです。
のちにプレイステーションやセガサターンにも移植されますが、家庭用ゲーム機としてはこのPC-FX版が先行して発売されていました。
日本国内での馴染みは薄いものの、世界的には約100万本の大ヒットを記録し、当時経営低迷にあえいでいたアクティビジョン社を救った救世主的なタイトルです。
『ファーストKiss☆物語』
後に数々のハードへ移植されるオーソドックスな名作恋愛シミュレーションです。
本作の特筆すべき点は、ミニゲームとして収録されている『ヒューネックスファイターズ’98』でしょう。
FXの主流だったアニメーション選択式の格ゲーではなく、ドット絵のキャラクターが直接動く「純粋な2D対戦格闘ゲーム」は、FX全体で見ても本作のみなんです!
実機を所有していた当時は、本編そっちのけで遊び倒していました(笑)
コンプリートを阻むレアタイトルたち
『チップちゃんキィーック!』
『メタルオレンジ』などの開発でレトロゲーマーに知られる「カスタム」社による、名作『バブルボブル』を彷彿とさせる固定画面アクションゲーム。
同社のマスコット的キャラ「チップちゃん」が、迫り来る敵を蹴って、殴ってステージクリアを目指します。
流通量が非常に少なく、FX最難関レアタイトルの筆頭としてコレクター間で高額取引されています。
『パチ夫くんFX 幻の島大決戦』
ココナッツジャパンの定番パチンコゲームシリーズですが、本作はシリーズの中でもかなりの異色作です。
なんと「幻の島」を舞台に、美少女たちが己の願いを賭けてパチンコで勝負を繰り広げるというストーリーが展開されます。
昨今のパチンコ・パチスロ機がアニメ一色になっている現状を考えると、ある意味で時代の先を行きすぎていた先見の明(?)を感じます。
『ときめきカードパラダイス』
3DOでリリースされた知る人ぞ知る脱衣麻雀『ときめきマージャンパラダイス』の移植作です。
キャラクターをそのままに、ポーカー、スピード、ブラックジャック、ババ抜きといったトランプゲームに変更されています。
麻雀からトランプへルールが変わったことに伴い、「大谷育江」氏をはじめとする超豪華声優陣のボイスが新録されているという、声優ファン的にはおいしい1本です。
『上海 万里の長城』
アクティビジョン制作の定番麻雀牌パズルゲームです。
ありとあらゆるPC・家庭用ハードに移植された超メジャータイトルゆえに、わざわざ高価なPC-FX版を選んで購入したユーザーが当時極めて少なかったため、現在では市場に出回らない屈指のレアソフトとなっています。
まとめ
今回お譲りいただいたソフト達は、ケース・説明書・帯付きで状態もかなり良好でした。
ご依頼者様のPC-FXに対する並々ならぬ情熱と愛情の深さがひしひしと伝わってくる、まさに博物館級のコレクションといえますね。
本当にありがとうございました!
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