『筐体野郎Aチーム』第1回:羽生の奥地にある古代遺跡(ジャンクヤード)

『筐体野郎Aチーム』第1回:羽生の奥地にある古代遺跡(ジャンクヤード)

【あらかじめの断り書き】

この記事は、実在のレトロゲームショップ「BEEP」を舞台にしていますが、内容は80%のフィクションと120%のレトロゲーム愛で構成されています。
一部、筐体を「ジャンク」や「墓場」と呼ぶ表現がありますが、これは過酷な修理現場を表現するための「愛の裏返し」であり、当時の開発者様や文化を卑下する意図は一切ございません。

また、本企画は「新人スタッフの修行」を兼ねたドキュメンタリーであるため、作中の修理には「初心者のやっつけ作業」や「ゴリ押し」が多分に含まれます。
BEEPで実際に販売されている商品クオリティとは天と地ほどの差がある粗末な内容(当社比)ですので、あくまで失敗を愛でるエンターテインメントとしてお楽しみください。

 

オープニング

 
1980年代、アーケードゲームの黄金時代を築き上げた伝説の筐体たちがいた。
しかし、時代の波に押され、彼らは「ジャンク」という名の汚名を着せられ、埼玉県羽生市の奥地へと放逐された。

だが、彼らは死んではいなかった。
埃にまみれ、回路を腐食させながらも、彼らは腕利きの修理屋を待ち続けていたのである。

どんなに錆びついたレバーでも、どんなにボタンが反応しなくても、彼らなら直してみせる!
社長の無茶ぶりをかわし、深夜のハンダ付けに命を懸ける、不屈の修理集団!
人呼んで、『筐体野郎Aチーム』!
※でも、コナミのバブルシステムだけは勘弁な!

「俺は、修理の計画が思い通りに進んだ時、最高の気分だぜ」——(ボイラー松井)

Mission#1:筐体を探せ!

プロローグ

そこは「埼玉のシベリア」だった。東武伊勢崎線に揺られ、降り立ったのは埼玉県羽生市
Googleマップですら「本当にここで合ってる?」と聞き返してくるような、のどかな田園風景の中に、レトロゲームの聖地・BEEPの本社はある。
ワープ加藤の似顔絵

ワープ加藤
遠い。秋葉原が恋しい。こんな「松屋」すらない場所に誰が好き好んで……
 
愚痴をこぼすのは、入社2年目の新人、ワープ加藤。
彼は国家資格「第二種電気工事士」を持つエリート(自称)だが、その実態は「免許は持っているが、実際に配線をいじると火花を見て泣き出す」という、実務経験ゼロの宝の持ち腐れ野郎である。
ボイラー松井の似顔絵

ボイラー松井
加藤、何ボサッとしてる。社長の指令を忘れたか
背後から現れたのは、BEEPの守護神、ボイラー松井。
元ゲーセン店長として数多のヤンキーと基板トラブルを捌いてきた歴戦の勇士だ。
ワープ加藤の似顔絵

【プロフィール:ワープ加藤】
BEEP新人社員。DS世代の割にレゲー詳しい&電気工事士免許を盾にイキるが、現場では置物でヘタレ。モータルコンバットが好き。
好きなキャラ:サブ・ゼロ(弟のほう)
ボイラー松井の似顔絵

【プロフィール:ボイラー松井】
BEEPの重鎮で元ゲーセン店長。筐体を開けばその生い立ちを感じ取る超能力を持つ。モータルコンバットが好き。
好きなフェイタリティ:スコーピオンの「Toasty!」(魔焼突死破)
天元中の似顔絵

【プロフィール:天元中】
BEEP屈指の変人参謀(ブレイン)。ある時は歩くレトロゲームWikiとして、ある時は出張ドライバーとして陸海空(時に宇宙)を駆け巡る。ビットマップブラザーズが好き。
好きなマッチョ:GODSのオープニングの人(PC-98版はディテールが細かい)

【プロフィール:タンヤオ鬼塚】
BEEP基板チームの若きメカニック。丁寧な仕事と誠実な対応がイカす優男だが、社でも指折りの雀廃で背中がススけている。
そのため、モータルコンバットもビットマップブラザーズもよく知らない。
好きな麻雀の役:字一色・大三元・四槓子(当然嶺上ツモ)

「ジャンクヤード」という名の古代遺跡

二人が向かったのは、社内でも「秘境」とされるエリア。
一見「ジャンクヤード」に見間違えるが、由緒あるBEEPの「筐体倉庫」だ。

BEEPが「文化保存」の名のもとに、倉庫代を惜しまず、全宇宙から買い取った筐体たちが眠る地。
まさに、現代の”古代遺跡”(インディ・ジョーンズ的な意味で)なのだ。

ワープ加藤の似顔絵

ワープ加藤
うわ……。なんですかここ、空気の密度が”80年代のデパートの屋上“じゃないですか
 
埃の積もった筐体が、壁のようにそびえ立つ。
そこには、今や時価数百万円と言われるナムコ、タイトー、セガのテーブル筐体が、まるで兵馬俑(※)のように整然と並んでいる。
※兵馬俑(へいばよう):中国の古墳などにある兵士の石像。
ワープ加藤の似顔絵

ワープ加藤
……! 松井さん、見てくださいよ! これ、任天堂の『マリオブラザーズ』のコンパネ(操作パネル)じゃないですか!?
 
加藤が指差したのは、木枠の隅っこに隠れていた一台。
ボイラー松井の似顔絵

ボイラー松井
おい、触るな加藤! それは『国宝級』だぞ。下手に触れたら、社長から究極神拳(※)を喰らうことになる
※究極神拳(フェイタリティとも):MKシリーズの代名詞である残虐なトドメ技。アクレイムジャパンのイカした翻訳センスが光る。
 
ワープ加藤の似顔絵

ワープ加藤
(こんなにサビだらけなんだから変わらない気がするけど……)
そう、ここには数多くの”お宝“が埋まっている。だが、今日の目的はそれではない。

 

「ありふれた麻雀筐体」という名の沼

ボイラー松井の似顔絵

ボイラー松井
今日のターゲットはこれだ。『ありふれた麻雀筐体
松井が指差したのは、これといって特徴のない重厚なテーブル筐体。
これこそ、時代の代弁者。レトロゲーム界の「あるある」だ。
当時、爆発的に普及したためBEEPにも入荷頻度が異常に高く、倉庫を圧迫する一因にもなっている。

だが、我々はそれらを「ありふれているから」と見捨てない。丁寧に買い取り、いつか来る復活の時を待って保護し続けているのだ。

ワープ加藤の似顔絵

ワープ加藤
こいつを直せって、社長も無茶言いますよ。麻雀筐体のコンパネってボタンが大量にあるし、配線は特殊だし……。正直、『修理する手間を考えたら、新品作ったほうが早い』レベルじゃないですか
ボイラー松井の似顔絵

ボイラー松井
加藤……。お前、モータルで『コンボを覚えるのが面倒だから』ってアッパーカットしかしないタイプだろ
松井が冷たい視製の送る。
ボイラー松井の似顔絵

ボイラー松井
いいか、完璧に直すのは”当たり前“。いわばBEEPの”登竜門“だ。こいつの配線図を読み解き、このボタンすべてを現役の状態に戻す。それができれば、お前も『紙の電気工事士』から卒業できるってことだ
ワープ加藤の似顔絵

ワープ加藤
わかりました!……やってやりますよ! GET OVER HERE!(※)、筐体!
※GET OVER HERE(ゲットオーバーヒアー):「こっちにこい」の意。MKシリーズのスコーピオンのキメ台詞。

ボイラー松井の『ワンポイントレッスン』:Case.01

テーマ:修理筐体の選定(ピックアップ)

「おい加藤、麻雀筐体を舐めるな。セガ(T-13・スペシャルデュアル他)やナムコ(T-1・T-2他)のようなブランド品じゃないかもしれないが、あの時代を生き抜いた猛者(ソルジャー)だ。

 

≪松井の鉄則≫

 

    • 経緯を払うべしゲームセンターや喫茶店で長きにわたって稼働してきた歴戦個体だ。ボロいからって軽率に扱うんじゃないぞ。コイツらはれっきとした”文化遺産”だ!

 

    • コンディションを見極めろ筐体には木や鉄が使われている、腐食が酷いと修理が大変になるぞ。「メンテナンスドア」の存在や筐体内の取り回しも確認しとけ!

 

    • なにより楽しむこれからしばらく心身をともにする筐体だ、自分で買って修理するやつはこのフェーズを妥協してはいかんぞ!楽しんでじっくり吟味しろ!

 

 

まずはリスペクトあるのみ、これが出来んうちは『Flawless Victory(完全なる勝利)』なんてほど遠いぞ。分かったか!」

松井の鉄則

次回予告

次は取り付けるコンパネ探し!
しかし、ひとたび転落すれば命はない“死のエリア”に加藤がいつものヘタレを発動!
あやうし加藤、無事に80年代の息吹を感じるコンパネを見つけることはできるのだろうか!?

次回:『第2回:コンパネが眠りし天空の魔橋(デスピット)』

TEST YOUR MIGHT!!

BEEPインスタグラム速報動画

作業進捗はBEEPのInstagramでチェック!ワープ加藤への応援コメントお待ちしています!

 

 

 

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