80年代のカシオは、画期的な製品が数多く登場した時代でした。
カシオ初の電子ピアノ「カシオトーン201」、現在でも人気のシリーズG-SHOCKの初代モデル「DW-5000C」、カードサイズのミニ電卓「フィルムカード SL-800」等…数多くのヒット商品を発売しました。
そんな勢いのある時代に、ゲーム機事業にも挑戦していたことはご存知でしょうか？
今回は、埼玉県川越市のお客様よりお譲りいただきました『PV-1000』をご紹介したいと思います。
数多くの栄光に隠れた、知られざる名機です。ぜひ最後までお付き合いください。
PV-1000とは
1983年7月15日、任天堂『ファミコン』とセガ『SG-1000』が発売され、家庭用ゲームが大流行します。
様々なおもちゃ・機器メーカーがゲーム事業に参戦する中、電卓や腕時計の世界的企業カシオもその波に乗ります。
ファミコンの登場から3か月後の1983年10月、家庭用ゲーム機『PV-1000』とホビーパソコン『PV-2000』が発売されます。
『PV-1000』の価格は、ファミコンと同じ14,800円と非常に安く、『PV-2000』も29,800円と当時のパソコンとしては破格の値段設定でした。
※例えば1982年発売の富士通の『FM-7』が126,000円、トミーの『ぴゅう太』が59,800円と圧倒的安価でした。
しかし、任天堂とセガの圧倒的なシェア、そして『PV-1000』と『PV-2000』の間で互換性がなかったことから、売り上げは低迷してしまいます。
テコ入れとして、パチンコや競馬といった、アダルトな内容のソフトも展開する試みも行われました。
新たなアプローチを試みたにもかかわらず、ユーザーには届かず、わずか1年という短い生涯に終わりました。
本体
紺色の本体に、時計の液晶のようなライトグリーンの製品ロゴがあしらわれており、一切の無駄がないシンプルさが特徴です。
飾り気はないものの、素朴な格好良さが感じられます。
端子は、コントローラーポート2個とAC・RFと最低限の端子にとどまっています。
初代ファミコンと同様、RCA（三色ケーブル）端子は搭載されていません。
付属のコントローラーは、ジョイスティック型になっています。
丸や四角といった、飾り気のない図形のようなボタンデザインは、実にカシオらしい設計と言えるでしょう。
これは、後にカシオが発売したMSX用のジョイスティック『TJ-7』にも引き継がれています。
ソフト
『PV-1000』専用のソフトは、全13本とかなり少ないです。
『プーヤン』『スーパーコブラ』など、主にアーケードゲームの移植版が中心となっています。
パッケージには番号が振られていますが、8番と13番は欠番となっています。本体の不振により、開発中止になってしまったと推測されます。
『ディグダグ』のようなメジャータイトルもありますが、当時他のゲーム機に移植が少ないちょっとニッチなゲームも揃っているのが特徴です。
特にコナミの『ターピン』は、元のアーケード版と海外ハードの移植版以外だと、 国内唯一のバージョンとなっており大変貴重です。
カセットの端子部分にはバネ式の端子カバーがついていますが、これがかなりの確率で引っかかり、トラブルの原因となることがありました。
また、『PV-2000』とは互換性がないため、『間違っても差し込みしないでください』といった注意書きも記載されています。
これは、『ファミコン』や『SG-1000』に後れをとらないために、付け焼き刃に発売した影響もあるかもしれません。
その後の動き
カシオは翌年の1984年10月、『PV』シリーズとしてMSXを代表する名機『PV-7』を発売します。
同機は、PV-1000やPV-2000で培ったノウハウを生かし、29,800円という破格の安価で提供されました。
※この頃のMSXは、1台およそ50,000円前後だったので、価格破壊をする結果になった。
結果、多くのMSXファンを生み出し、初心者を中心としたユーザーの思い出の機種となりました。
反対に、PV-1000は歴史から姿を消し、後継機であるMSXとの互換性もないことから、現在では知る人ぞ知るレアハードとなっています。
1995年10月に、今度は女児向けを対象としたゲーム機『マイシールコンピューター ルーピー』をリリースするも、こちらもほとんど知られないまま（※）消えています。
※：現在、カシオの公式サイトの年表からは、PV-1000、PV-2000、そしてルーピーの記載が抹消されています。公式にも“なかったこと”にされているという、悲哀に満ちたハードです。
この投稿をInstagramで見る
BEEPではあらゆる年代のゲーム機本体・ゲームソフトを買取募集中です。
CASIOのゲーム機はもちろん、ゲーム電卓やその他当時の電化製品も買取可能です、ぜひ一度ご相談頂ければと思います。
買取に関するご質問やご相談、見積もりのご依頼も無料にて承っております。
まずはお気軽にご連絡くださいませ。
どうぞよろしくお願いいたします。
