1980年代初頭、ヨーロッパ市場で圧倒的なシェアを誇っていたコモドール社。
しかし、その栄光は長くは続かず、90年代には数々の「やらかし」を連発しました。
その中でも、32bitゲーム機『Amiga CD32』は、今なおゲーム機マニアの間で「良くも悪くも」話題に上ることがありますよね。
今回、その『Amiga CD32』の前身となったマルチメディア機『Commodore CDTV』を静岡県浜松市のお客様よりお譲りいただきました。
まさに「CDドライブ搭載機」の戦国時代の先陣を切った、武勇を振り返っていきましょう!
そもそもCDTVって?
『Commodore CDTV』は、1991年に登場したCDドライブとリモコン型コントローラーを搭載したパソコンです。
その名の通り、テレビをCDプレーヤーにするというコンセプトで、「CDXL」と呼ばれるAmiga独自の技術が使われています。
「CDXL」は、CD-ROMからフルモーションビデオを再生・圧縮するためのAmiga独自の規格です。
現在の主流となったMPEG系(例えば、.mp4ファイルなどの元となる規格)が広く普及する以前の技術であり、当時の限られたハードウェアリソースで動画再生を実現した、コモドールの意欲作でした。
CDTVのベースとなっているのは、同社の『Amiga 500』です。
この『Amiga 500』は、1987年時点でカラー表示が可能なグラフィカルなOSを搭載していました。
当時のAppleより早く最新鋭の技術を実装していたことに驚かされますね!
同時期にリリースされた『Macintosh II』でようやくカラー対応のオプションが登場したMacと比較すると、Amigaがいかに先進的だったかが伺えます。
「リビングへの進出」は時期尚早?
コモドールはCDTVをオールインワンの家電製品としてアピールしましたが、そのお値段は999米ドル。
現在の価値に換算すると約2,650ドル(日本円で約40万円以上)にもなります。
気軽に買える値段ではなかったため、実際にリビングルームで使用する人はほとんどいませんでした。
また、既存のAmigaユーザーも「外付けCDドライブが別売りされるまで待とう」と買い控えを起こす事態に。
※案の定、後に『Amiga 500』用のCDドライブが登場することになります。
パソコンとしての利便性は?
家電としてリリースされたことから、リリース初期はデフォルトでマウスやキーボードが付属しておらず、取り回しが良いとは言えませんでした。
また、当時の最新OSである『AmigaOS 2.0』ではなく、前世代の『AmigaOS 1.3』が搭載されていたことも、パソコンとしての評価を下げたポイントです。
CDドライブを強く推していたため、当時主流だったフロッピーディスクドライブが内蔵されていない点も、パソコンとしての利便性を損ねました。
さらに、メモリ増設用ポートや拡張スロットも限られていたため、パソコンとしては中途半端な仕上がりだったと言えるでしょう。
ただし、接続端子が充実しておりコンポジットやS端子、MIDI端子まで幅広く対応している点は評価されていたはず(多分)
個人的には、専用のCDケースを使用して起動する「キャディローディング方式」はなかなかお目にかかれないので、非常にアツいです!
フロントの液晶ディスプレイや、コントローラーと一体化したリモコンなど、家電感は非常にそそられますよね…皆さんはどうですか?
ゲーム機としてのCDTV
市場では、『Amiga 500』はグラフィック性能に強みがあったため、ゲーム機としての運用が人気のパソコンでした。
前世代の『コモドール64』もゲーム機として根強い人気があったため、Amigaシリーズ全体でゲームソフトが多数登場しています。
これらの背景から、後継機である『Amiga CD32』では、明確にゲーム機としてのアプローチを強めることになります。
『Amiga CD32』のゲームについてはこちらも合わせてチェックしてみてください。
※ちなみに『Amiga CD32』には、CDTVとの互換性があります。
肝心のソフトは?
CDTVで発売されたソフトは、『Amiga 500』で使えるPCソフトに加えて、CDTV専用のソフトやCDTVに対応したバージョンアップ版が存在します。
専用ソフトは約50本弱で、ゲームやマルチメディアコンテンツ(教育ソフト、電子絵本など)と多岐にわたります。
似たコンセプトを持つ『3DO』もそうですが、この「器用貧乏」感がたまらない、という方も多いのではないでしょうか(笑)
予想通り、理不尽な死が多発する西部劇のアドベンチャーゲーム『The Town with No Name』や、アドベンチャーゲームの老舗ICOMの『シャーロック・ホームズの探偵講座』など、ムービーを主軸にしたものが多く見られます。
また、CDTV版の『シムシティ』は、グラフィックやUIにかなりアレンジが加えられており、専用のOPムービーまで用意されています。
随所にCDTV本体やコントローラーも登場する演出は、SFC版に引けを取らないアレンジ移植と言っても過言ではないでしょう!(※個人の感想です)
正統派のアクションやシューティングは少ないものの、SFCの『レンダリングレンジャー:R2』を制作したレインボーアーツの「Turrican」シリーズも存在します。
CDの容量を活かした滑らかなグラフィックは必見です。メトロイドヴァニアのような探索アクションがお好きなら、ぜひチェックしてみてください!
BEEPではあらゆる年代のゲーム機本体・ゲームソフトを買取募集中です。
箱や説明書のないソフト、仮に状態が悪かったり動かないものも、ぜひ一度ご相談頂ければと思います。
買取に関するご質問やご相談、見積もりのご依頼も無料にて承っております。
まずはお気軽にご連絡くださいませ。
どうぞよろしくお願いいたします。