今回はお客様からご依頼をいただいたスワンクリスタルのディスプレイ修理をしていきます。
スワンクリスタルは「ワンダースワンカラー」のハイグレードモデルで、シリーズ最後の機種です。ディスプレイがTFT液晶になっており、従来品より残像が軽減されて画面も明るくなったのが特長ですね。
お預かりした時点では症状は液晶にシミのようなものがあり、画面が見づらい状態です。
このシミはビネガーと言われている症状で、ゲームボーイやゲーム&ウオッチなどの液晶ゲームではよく見られます。
ビネガーとは、正式にはビネガーシンドロームと言います。
液晶画面上のフィルムが経年による加水分解で変形することでシミができたり、黒く変色を起こすことの総称です。
マイクロフィルムなどのセルロースアセテート系のフィルムが、経年劣化によって分解し、酢酸を放出するために起こります(この酢酸臭が名称の由来です)。
押し入れや倉庫など湿度の高い場所に長期保管しているとビネガーが進行しやすくなります。
一度、症状が出ると自然に直ることはなく、どんどん悪化していくものですので修理を行う必要があります。
それでは、分解して修理を始めていきましょう。
まずは、裏側のネジを6個外します。
ネジはトルクスが使われています。
両側の黒い部分を横に引っ張り、ロックを外し液晶のフレキシブルケーブルを抜きます。
メイン基板と液晶を取り外します。
液晶は本体カバーに接着剤で貼り付けられていますので、本体を少し歪めて接着剤を剥がしながら液晶を取り外します。
※無理に剥がすと破損しますので注意が必要です
表面に貼られている偏光フィルムを剥がします。
お酢のような酸っぱい臭いが漂ってきました。
よく喚起をしながら作業を行います。
表面に接着剤の跡が残っています。
無水エタノールと綿棒でキレイにします。
少しでも汚れが残っていると仕上がりが悪くなります。
それでは、新しい偏光フィルムを張り付けましょう。
液晶表面にチリやホコリ、気泡が入らないように注意が必要です。
この後は内部のクリーニングとボタンの接点クリーニングをしていきます。
画面の内側の汚れを除去。チリが一つでもあると気になりますよね。
続いて、ボタンの接点クリーニングです。導電性のラバーパッドが使われています。
予防保全のため全ボタンクリーニングを行います。
ラバーパッドの外側もかなり汚れていますのでクリーニングします。
基板側の接点もクリーニングしておきましょう。
特にスワンクリスタルは電源ボタンの反応不良が多いです。
入念にクリーニングして予防します。
一通りメンテナンスが終わりましたので組みつけて動作チェックをします。
以上でスワンクリスタルの修理は完了です。
今回の修理は、分解することは簡単でも、偏光フィルムをキレイに貼るのはコツが必要です。
ビネガーは進行すると修理も大変になっていきます。
お早めに交換することをお勧めいたします。
BEEPではスワンクリスタルをはじめ、様々なレトロゲーム機の修理を承っております。
お見積り(無料)だけでも結構ですのでお気軽にお問い合わせくださいませ。