メガドライブミニ小噺 ”メガドライブミニ”ディレクター:エクイテス駒林氏

文;エクイテス駒林 (メガドラミニだとディレクターとプランナーとバームクーヘン配り係。本職?は広報と名人

プロローグ:「メガドラミニのサントラ出るからBEEPでしか読めない話書いて、いつもの感じで」と小林社長から発注が来たので、いつもの感じで書いてみましたが、「Webに載せるメガドラミニのサントラ発売へ向けてのお祝いのメッセージ」らしいので、話題を少し変更してお送り致します。


まずはCDの発売おめでとうございます。僕の2019年はメガドラミニの開発に始まりましたが、そんな2019年を締め括るのがメガドラミニのサントラ(と『エスプレイドΨ』)というのは感慨深くあります。外ではCDでメニューの曲を聞いて、家ではメガドラミニで遊ぶ年末年始というのもいいんじゃないでしょうか。メガドラミニのスタートボタンにセロテープ貼っておけばエンドレスで聴けると思いますが、こうしてCDで聞く、CDを買うといった行為は特別なので買いましょう。

古代さんから頂いたメガドラ実機用の曲データを早速メガドラ実機で鳴らしてwav化してくれたエムツーサウンドチームの春日さん工藤くん、サクっと組み込んでくれた篠田さんにはこの場を借りてお礼申し上げます。最初に届いたデータは実機の鳴りが想定と異なっていたので、修正版を頂いた上で再録音したんですよね確か。

メガドライブミニではメニュー曲とSEを古代祐三さんにお願いしておりますが、これは僕の方で強くお願いをしたというのが一つあります。日本だけで出すならまだしも、世界で出す、しかもセガ勝利の地であるアメリカやヨーロッパでも出すとなると、世界中で大人気のメガドラタイトル作曲家…つまりは古代祐三さんに依頼するのが当然でしょう。大ヒット作で超名作の『ベア・ナックルII』だけでなく、海外で大人気『SHINOBI』シリーズの中でも金字塔的な『ザ・スーパー忍』の作曲までされています。それに「あの古代祐三がメガドラミニに参加」と情報が出るだけでメガドライバーな方々は喜びます。あとは単純に僕が古代さんの大ファンだという事もあります。この様な形でお仕事ができて光栄です。

8月頃に先行して海外でGenesis Miniのレビューが一気に出ましたが、長所の一つに古代さんの楽曲がだいたい出ていたので一安心しました。当たり前の話ですけどミニスーファミと比べられるんですよね。こちらも一応意識はしており、収録タイトルの視認性が低いので背表紙表示モードを入れて、タイトルへの説明が無かったので説明文を表示(奥成さんの柔らかいけど詳しい説明文がアーカイブ的で良かったと思います。僕が書いたら嫌なメガドラマニアの文になってたはず)させ、リプレイを流しても自分の興味のあるものだけ見る事になるので、5分放置(当初10分だったけど5分になってた)でタイトルデモを流す仕様にしたりしました。


話題を楽曲依頼の時に戻しますが、10月にあったスィープさんのイベントで古代さんのスケジュール感を確認し、セガさんからOKが出たので、堀井社長と2人で豊田のエインシャントさんまで改めて訪問しました。帰りに「デッドストックの『ペイントローラー』が売っている店が近い」って聞いて、運転していた堀井号をぶつけた挙げ句に肝心の『ペイントローラー』は堀井社長が買っていたという本当にどうでもいい話があった事はナイショ。

僕が曲の話をするのも差し出がましい気はしますが、『ランドストーカー』オマージュのパートを初めて聴いた時が一番印象深かったです。『ランドストーカー』は「ザ・大作!」って感じで曲の豪華さが魅力の一つだと思うのですが、その中でもお気に入りの街の曲をモチーフにされてるところが良かったですね。再現性に問題があった中でようやく直ったその日の夜に、泊まり込みで『ランドストーカー』の修正内容を確認していたんですが、眠気と疲れ、切迫感、修正がようやくされた喜びなど色々な感情がゴチャゴチャになった深夜3時を思い出す一曲。

 

あとSEは国内のUIよりも、Genesis感や欧州Mega Drive感が出ているEFIGS(※1)のUIでこそ輝く音な気がします。クールなGenesisやMega Driveを彩るクールなSEといった感じでトータルコーディネートができています。そんなUIを作った三嶋さんはその後『エスプレイドΨ』のいろりの部屋でもウルトラ大活躍してくれたんですがそれはまた別の話。(2019年12月19日発売。買おう!)

 

※1

EFIGS(えふぃぐす)

English, French, Italian, German, Spanishの頭文字を取ったもの。Englishを抜くとFIGS(ふぃぐす)となる。多言語化でゲームを作る事が割と前提となっている昨今のゲーム業界では頻出するとかしないとか。ドイツ語は死ぬ程長くなるので、UIのテキスト表示周りは余裕を持たせないと死ぬ。

用例

「へえ、『FE風花雪月』ってFIGSと繁体字とハングルに対応してるんだ。そういえば多言語でシュヴァルツァアドラーヴェーアってどうなってるんだろ。」


そうだ、古代さんで思い出したんですが、メガドラミニに収録ROMは『ベアII』も『ザ・ストーリー・オブ・トア』も普通より多いんですよ。『ベアII』は中盤以降に「『トア』がここまで入るなら、『ベアII』も入れましょう」という提案が来たので、「そりゃ入れるしかないか」となった覚えがあります。まあJP版をPALリージョンで動かすと、言語が英語になって『Streets of Rage II』が立ち上がるんですが、今回はエリアプロテクトを外してGenesisリージョン(60Hz)で動かしています。

多分ブレイズのパンチラが違うとは思うんですが、大きな違いがタイトルで、PAL版の表示が「Streets of Rage II」、US版が『Streets of Rage 2』となっています。
「(⦿Λ⦿)ローマ数字か算用数字の違いだろ」
とかお思いかもしれませんが、ここで『トア』の説明文を見てみましょう。「Streets of Rage II/2」の文言がありますよね?そう、説明テキストに跳ね返ってきます。FIGSは「II」にすりゃいいだろと思ったら、Genesis Miniはスペイン語とフランス語のUIとROM(『トア』とフランス語『ランドストーカー』とPAL版『ライトクルセイダー』以外)が欧州Mega Drive準拠ではなく、Genesis仕様なのでそこを忘れるとアウト。しかも途中から実装されたから、4バージョンx4言語(FIGS)分ひとつひとつ説明文を確認して修正する…という状況を理解していないと中々に面倒な仕事が発生しました。結果としてはユーザーの皆様が喜ばれていると思うのでいいんじゃないでしょうか。

 

エインシャントタイトルといえば「BEメガFAN」のコラムでも書いたので端折ると、フランス語版『トア』のパッケージをわざわざ輸入してくれたセガというか奥成さんはこだわりの人です。フランス語版『トア』の為だけにフランス語版だけタイトルが違うから、ソートデータも専用に作ったという工数に加え、最後の方に専用のパッケージも実装したという手間の掛け方は普通しないんじゃないかと思います。この文章を読むのを一旦止め、メガドラミニを立ち上げて言語をフランス語にしてみましょう。ほら変わってるでしょ。

あとは古代サウンド繋がりで、国内版とアジア版に収録されている『ザ・スーパー忍』の魅力についてを書いていこうと思います。最初は無限手裏剣にしてイージーモードにしてもクリアできなかったのですが、ステートセーブとロードがサクサクにできたので、繰り返し練習が捗りその結果クリアできるようになりました。クリアできてからがこのゲーム楽しくて、無限手裏剣でクリアした後に、手裏剣を標準にしてのクリアに挑戦していました。それも達成したら手裏剣0スタート、手裏剣0スタートのクリアも達成したらハードモード…と段階を上げられるのが良い所です。最初のクリアに一番時間が掛かり、その後は割とスルッと行けたので、年末年始に是非チャレンジしてみて下さい。ボスの動きは割と単調なので、セーブ・ロードを駆使して研究してみましょう。

 

休日出勤メモを見返すと12月からGWまでなので、他にも色々とあったとは思うんだけど今回はここまで。またどこかでお会いしましょう。

 

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