ちょっとお久しぶりのBEEP修理班です。
今回は、お客様からご依頼をいただきました、任天堂のバーチャルボーイを修理します。

バーチャルボーイは、1995年7月21日に発売されたマシンで、その名が示すように「バーチャル・リアリティ」をテーマにしています。
ちょうどセガサターンやプレイステーションなどが「次世代ゲーム機戦争」と呼ばれる市場争いをしていた時期で、商業的には成功したとは言えませんが、そのソリッドで独自性のあるスタイルは熱心なゲーマーから評価されています。
さて。
症状は、ソフトの起動は問題ありませんが右目の映像が出力されません。
バーチャルボーイではよく見られる症状です。

ネジは特殊なラインヘッドネジが使われています。
スーパーファミコンに使われているネジと同じ規格です。

専用ドライバー「ENGINEERのDTC-27」を使って取り外します。

カバーを外すと左右に同じ構造のLED基板があり、フレキシブルケーブルで接続されています。


LED基板をみると、サンヨー製で中心部分にLEDがついています。

映像不良の主な原因は、フレキシブルケーブルと基板の接合部の剥離です。
この接合はハンダではなく、ACF(異方性導電フィルム)による熱圧着で固定されています。

ACFとは、導電粒子が混ざった特殊な接着フィルムで、熱と圧力を加えることでケーブルを基板に貼り付け両端子を導通させます。
しかし、経年劣化で粘着力が弱まり、接合部が剥がれて導通不良を起こしやすいようです。
ただ、今回の映像不良に関しましては、LED基板の故障ではなく、他の基板が原因である可能性も考えられます。
そのため、左右のLED基板を入れ替えて故障箇所を絞り込みます。
入れ替えたところ、症状は右から、左に移りLED基板不良が確定しました。
※その後、LED基板は元の左右の位置に戻しています

故障している方のLED基板を取り外し、修理に取りかかります。
修理はハンダごての熱を使い、フレキシブルケーブルと基板の
接合部を加熱して圧着をします。

温度が高すぎるとケーブルが溶けてしまい、低すぎると接着できません。
温度調整や熱する時間が重要となります。

加熱後は導通確認をして抵抗値に異常がないことを確認します。
1Ω以下になれば正常です。
導通チェックも問題ありませんでした。

LED基板を取り付けて動作確認をしたところ、右側の映像も正常に出力されました。

念のため、左側のLED基板も導通確認をします。
すると、一部で抵抗値に異常が見られました。
こちらも予防として熱圧着をします。

左側のメンテナンスが終わり、取り付けて動作チェックをします。
とくに問題なく映像が出力されています。スピーカー、コントローラーも問題ありませんでした。
これにて、修理完了となります。

今回のバーチャルボーイの修理では、熱圧着する際の温度調整が重要となります。
無理に行うと症状が悪化したり、修理不可になる場合がございます。
BEEPではバーチャルボーイをはじめ、レトロゲーム機の修理を幅広く承っております。
お客様に安心して長くお使いいただけるように1つ1つ丁寧に修理いたします。
お見積りは無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください。






