【宅配買取】北海道札幌市より「Twentieth Anniversary Macintosh」をお譲りいただきました!「20周年記念Mac」の25周年を記念して、1997年の名盤大試聴でタイムスリップ! 

20周年Macが出てから25年も経ってるんだぜ。ウソみたいだろ。でも動いてるんだぜ――動いてるんだからタッちゃんの名言をもじってもそりゃ失敗するだろう感ありの書き出しおそれいります。BEEPのご利用、本当にありがとうございます。大変に貴重な一品をお譲りいただきました。

こちらAppleの創業20周年を記念して1997年に限定発売された「Twentieth Anniversary Macintosh」ですが、海外では頭文字とって「TAM」。開発コードネームであった「スパルタカス」という呼称でも親しまれていますし、日本ではそのまんま「20周年Mac」みたいに呼んだりもします(今回はこう呼ばせていただきます)。

なんか知ったような、なんなら持ってたような口きいてますが、もちろん知ったかです。だって発売価格、88万8千円ですよ? 高いってば!

RF丸山「うん、1997年っていうと大学出た翌年だもんな。厳しいよ」
同い年のBEEP広報担当のRF丸山が同意してくれました。「でも、俺はソフマップで実機見て妥当な値段だなとも思った」
まじすか。ワタシは当時に現物を目にしていないうえに、現在のPCの安さが(ゲーミングPC除く)過去のお値段感覚を混濁させてるかもしれません、その頃のベーマガをちょろっとめくってみました。

ああ~こういう世界でした(もちろん、どんどん安価に購入できるPCが出てくる時代でもありましたが)。

ともあれ自分には手が届かなかったこの逸品、うらみはらさでおくべきかということで、動作確認という名の取材をさせていただきます。

あらためて全景をば。レインボーのアップルマークがひたすら懐かしいですがシルバーが映える非常に美しい独自デザインの筐体です。我々が今よく知っている「マッキントッシュらしさ」とは明らかに異質であるとは思いますが、美しいことには変わりありません。ちなみに1997年のグッドデザイン賞を受賞しています。

液晶モニタの搭載もその美しさに一役買っていると思われます。これ、デスクトップ型のマッキントッシュとしては初の液晶モニタ搭載機なんですね。現在はPCもTVも街も電車も液晶モニタまみれですが この頃はまだまだブラウン管が幅を利かしておりました。液晶モニタの技術はまだまだ発展途上中かつ非っ常に高価、この12.1インチ液晶がこの20周年Macの値段を押し上げている大きな理由のひとつでしょう。

ではまず起動音をお届けしましょう。起動音はコチラ

お、メモリは128MB、これでめいっぱい積んでます。CPUはPowerPC 603e。だいたい同性能のMacを見繕うと40万円くらい、ってとこですから、コンピュータとしての性能面「のみ」から見れば大変高かったのは確かです。

左側スピーカー横のスイッチ周り、TV/Macボタンが気になったので押してみます。

最近なかなか見てない砂嵐を見ることができます、というボタンにしか今はなりませんがTVチューナー付き(FMチューナーも)、私シャープの「パソコンテレビX1」を思い出してしまいました。「PCでTVを見たい/見せたい」という思いが今よりずっと強かった時代を思い出します。今はそんな思いのすべてをインターネットがまるごと飲み込んでしまったように思えますが。

さて、いよいよ筐体の下半分を占めるCD-ROMをオープン、CDの再生を試みます。音源として使用しますは『ザナドゥサウンドコレクション』。ゲームミュージックレーベル「BEEP2+sounds」より発売中です(宣伝)。

動画撮影後RF丸山氏がぼそっとつぶやきました「いい音だなあ」。同意です。もちろんこれは音源としても、再生機器としても、という意味です。

「サウンド・バイ・ボーズ」の文字が眩しいですね。この20周年Mac、サウンドシステムはあのBOSEとの共同開発なのです。ディスプレイの両脇に2インチスピーカー、そして圧巻の存在感を放つサブウーファーという構成です。そりゃもういい音なわけです。

あの液晶に、その筐体に、この音響。「妥当な値段」なる判断もうなずけます。実際の店頭価格はもちっと安くなってたそうですし。

サブウーファーをひっくり返してみると低音域の調整ツマミが。当然、この後ぐりっと最大にしましたです。BOSE万歳! ドンシャリ万歳!
ちなみに、本体に比べてもやたらと主張のあるサイズと重さ。実は専用のケーブルで20周年Mac専用設計となっており、本体側の電源もBOSEサブウーファー側から供給しています。それでいてこのノイズ対策は結構頑張っています。更にBEEPでは早速ウーファーユニットをばらしてコンデンサ交換し電源周りをオーバーホールしておきました。

というわけで準備OK。1997年の20周年Macで1997年の名盤を聴いてまいりましょう。
1997年を代表するアルバムといえばやはりレディオヘッドの『OKコンピューター』。ギターロックとしては明らかに難解な構成ながら世界的な大ヒットを果たしました。

1曲目の「エアバッグ」で思わず「おお~」と声をあげるワタクシとRF丸山。
「これ2インチスピーカーだよな」とスピーカー部を凝視してしまいます。音の広がりが半端ないのです。低音部もウーファーでグイっと立ち上がっていて文句なし、迫力ある音像がPC周りに広がっています。
あと、1997年のアップルコンピュータで聴く『OKコンピューター』ってなんかいい、という情緒的な感想もつけくわえておきたいと思います。
続いて2曲目「パラノイド・アンドロイド」を流していると、「なんか凄い良い音出してるじゃないですか。どうしたんですか?」と声をかけてきたのは弊社の音楽買取チーム(良盤ディスク)のSさん。我々とは一回り以上世代が違うので、この感動が単なるノスタルジーのみに基づくものではないことの証なりと胸をなでおろすのでありました(仕込みじゃないよ)。しかし、しかしですよSさん、我々は今1997年のマッキントッシュで1997年の良盤、名盤を鳴らしているのです。この一帯は今、すでに1997年なんです! どうですか?
RF丸山「1997年か……。赤城山でレイジ(・アゲインスト・ザ・マシーン)聴きながら走ってたなあ」
私「浦和のゴール裏が太鼓なし応援やってて、コールずれちゃって大変でした」
良盤スタッフS「私ポケモンやってました」
……読んでくれてるかたに1997年がどんな時代だったかをスッとわかってもらうチャンスなんだけども、なんでしょうねこの微妙なわかりにくさは。

まあそれはそれとして、続いては1997年の日本を代表する名盤を聴いてみましょう。

KCHC(柏シティ・ハードコア)を掲げるツイン・ヴォーカルのハードコアバンド、ヌンチャクの『都部ふぶく』。コレ、名盤です。激しkラウドながらキャッチーなリフとビート、そして高音低音のツインヴォーカルが繰り出す下ネタと柏の仲間内でしか通用しないような符丁だらけの歌詞(ちなみにタイトルの「都部」は千葉県我孫子市の一地名。最初何がなんだかわからんかった)。ともあれそれらが当時のラウド好きの若者のハートを大量にガッチリ掴んだのでした。一部世代にとってのブッチギリの名盤だったわけです。

タイトルチューンの「都部ふぶく」を聴きます。左から低音ヴォーカル、右から高音シャウト、真ん中からリフ炸裂。サブウーファーが揺れてます。

思わずウーファーに手をのせてニヤニヤするワタクシ。1997年がよみがえってきました。皆さんどうですか?
RF丸山「赤城山で“疾走”(はし)ってたよ」
私「浦和のゴール裏が太鼓なしで、浦和カモンがズレまくるんすよ」
良盤スタッフS「私ポケモンやってました」
曲変えたんだから思い出も変えましょうよ。あと口調が「特攻の拓」化してるのは曲の激しさゆえでしょうか。で、Sさんは初代ポケモン直撃世代ですねこのご様子だと。

小休止中、おもむろにiPhoneを持ち出し、マイク端子に接続を試みるRF丸山。最新のiPhoneとiPhoneというものを知らない時代のMacの邂逅です。お互いびっくりしてるんじゃないでしょうか。
「うん、マイク端子だからアレだけど、スピーカーとしてもイケなくもないかな」。確かに、あとここで流れた曲がニルヴァーナの「リチウム」だったのがイケてます。

再開。3枚続けてまいりましょう。

プライマル・スクリーム『バニシング・ポイント』
音楽性が作品ごとに変わるので有名なプライマル。この作品にはダブの影響が強く出ていますので、サブウーファーの出番です。というわけでおすすめはやはり10曲目の「トレインスポッティング」。同名映画に提供されたこの曲は8分越えのダブ・インスト。はっきり言って、不穏すぎて最高です。

槇原敬之『Such a Lovely Place』
作品選択がウーファーの存在にに引っ張られすぎてるような気もしてきたので、日本の良質なポップスも聴いてみましょう。「素直」。優しい曲ですよね。ピアノと透明感あるマッキーの声が、くっきりと立ち上がってきます。今さらですが、ウーファー絞って聴くのもいいかもしれない(本当に今さらですが)。

また、「おでかけマキハラ君!」というウインドウが現れたのも驚きました。ちょっとしたお遊び曲とCGムービー、日記などが収録されています。音楽CDに音楽以外のデータも入れられるCD-EXTRA、いわゆるエンハンストCDだったのでした。この仕様も懐かしいですね~。

『A LIFE LESS ORDINARY – Original Soundtrack』
90年代後半は「サントラの時代」だった(と言い切ってしまう)。先にもあげた映画『トレインスポッティング』(このサントラもバカ売れしました)の監督、ダニーボイルが主演のユアン・マクレガーとともにハリウッドデビュー!というわけで大いに期待された、邦題『普通じゃない』。観た後にみんな「けっこう普通だったな」って言ってましたけど、サントラは1997年イチの名盤です。アッシュのムービータイトル・チューンは爽やかに鳴ってます。低音を楽しみたいならアンダーワールド、プロディジーです。

その後も1997年のめくるめく名曲群に浸かりながら、20周年Macについて思いを巡らせました。生産が終わったのは発売の1年後、1998年とのこと。1998年といえば、やはり思い出すのはwindows98。windows98というインターネットと本格的に結びついたOSは、コンピュータは職場に一人一台、をどんどん当たり前にしていきました。windowsPCは仕事で使う道具としての姿を完全にまとっていたマシンだと思います。そして「個人空間の創出」が大テーマだった20周年Macはその対極にあります。

そして今、この20周年Macはマッキントッシュにだって見えない、と感じる人もやはり多いだろうと思います。世界中に普及し愛される現在のMac製品のありようとは、明らかに違います。当時Appleを離れていたジョブズは寄贈されたこの20周年Macが気に入らず、窓から投げ捨てたという逸話があります。「窓から投げ捨てた」というのはさすがに作りでしょうが(ロックスターのツアー中乱痴気騒ぎあるある「ホテルの窓からテレビを投げる」が混ざったと思われます)、気に入らなかったろうというのは理解できます。このエピソードも、20周年Macの異質さというものを物語っています。

ともあれこういうのはもう出てこないだろうな、と思います。コンピュータが、インターネットが、音楽の聴き方が、まだどう転んでいくかわからなかった、だからこそみんながわくわくしていた時代がありました。だからこの異質なるマッキントッシュは、そんな不確かでにぎやかな時代が確かにあったことを示す、美しき銀色のモノリスなのかもしれない、そんなことを考えました。

で、ふと気づくと周りには誰もいません。ワタクシのアイフォーンには新着メッセージが2件。「赤城山に行ってくる」。「ポケモンやりに群馬の実家に帰ります」。さすが今は2022年、ビジネスチャットで手軽なコミュニケーションだネ、じゃないですよ、帰ってきて、地理的にも意識的にも! あとなんでみんな群馬なんですか。

取材は以上です。えー、ここ埼玉県羽生市の本社にはまだまだ優秀なスタッフが多数在籍しておりますので、これから本当の丁寧な動作チェックを行います。BEEP店頭に並ぶことがありましたら是非チェックしてみてください!

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