攻略本コレクター松原氏

ゲーム&マイコン偉人伝 第2回は 松原圭吾氏です。

コンシューマーゲーム関連を中心にそのアイテム量 ユニークアイテムカウントで23000点以上。
そのすべてを規格番号や出版社等 情報を付け加えながらデータベース化して管理しているそうです。

今回 投稿者の原文ママになっております。

ども、自称攻略本コレクターの松原です。

息を吸うように安いゲームを買い、
息を吐くように安いゲーム書籍を買っていたらいつの間にかこんなに増えていました。テヘ。
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内訳2010/10/30現在
・ゲーム攻略本 7657冊
・ゲーム雑誌 4570冊
・ゲーム関連書籍 458冊
・メディアミックスゲーム関連書籍 1806冊 (文庫、コミックス、ゲームブック)
・ゲームサントラ 3067タイトル(付属品含む。)
・ゲームソフト 5532本(雑誌付録CD-ROM含む)
・映像作品 159タイトル(LD、VHS等)
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と書くとこれだけで終わってしまうのですが、なんか理由とかあったっけなあと、自身を振り返ってみました。

・活動

2000年前後に、コミケで兄の知り合いが評論ジャンルのサークルを出していて、
本を作ったら置いてもらえるくれるとの事だったので、
ゲーム関連書籍をゲームハードなどのジャンルごとにリストにした同人誌を作ってました。(※1)
メジャーな活動としてはABC(阿部広樹)さん(※2)に見初められて、
ゲームの歴史を紹介する原稿を作成する際のデータ提供や、リスト作成をしていました。
『gM』(ソフトバンク刊)RPGゲーム年表の作成
『セガコンシューマヒストリー』(エンターブレイン刊)一部不明だったタイトルや発売日等のデータの穴埋め。
『みんながコレで燃えた!NEC8ビットパソコン PC-8001・PC-6001 CD-ROM1枚(Windows 2000、XP対応)』(アスキー刊)オールドPCゲームのリスト
他にも攻略本の表紙写真の提供などいろいろとありましたが省略。(※3)
どちらもだいたい2005年くらいまでですね。その後はいろいろあって表立った活動はやっていませんでした。

・コレクションの原点

そもそもの収集の原点は子供時代の流通の弱さに起因しています。
友人の家でプレイしたとあるゲームソフトが欲しかったのですが、おもちゃ屋やゲームショップに残っていなく、
当時、田舎では珍しかった中古ショップに足繁く通っても、売り切れの空箱(※4)のままだったことがありました。
特に高額だというわけでもなく、再販されるような人気もなかったため、
純粋に、私の近所になかっただけなのだと思います。
結果、入手までにかなりの時間がかかったという経験があり、
気に入ったゲームを手元においておくことにこだわったり、
まだ見たことのない、遊んだことのないゲームへの好奇心で情報を蓄積するようになりました。
蓄積といっても、記憶力には限界があるわけで、初期は遊んだゲームを家にあったワープロにメモ。
パソコンを入手してからはデータベースソフトに入力をしていたのですが、
その後インターネットで情報収集など、趣味の規模にITの進化が後押しし、
際限なくエスカレートしていくことが可能となっていました。

・レアゲーム?

ゲームソフトにプレミアがつき始めたのは、前述の入手できなかったゲームを手に入れてから何年も経った頃でした。
秋葉原のゼット(※5)という店で『メタルスレイダーグローリー』というファミコンソフトが定価オーバーの中古ソフトとして飛ぶように売れてい て、
高価買取のチラシを配ったりと、当時としては一線を越えた商売をしていました。
お金になると踏んだ近隣の店が徐々に模倣を始めて、
古いゲームでも揃う町、ゲームを買うなら秋葉原という感じになっていったように思います。
そんなに情報通じゃなかったので、他でもゼットに似たような店はあったと思うのですが、
私のアンテナには引っかからなかったのでツッコミは無しでお願いします。板橋のクラブハウスとかネ。
まあそんな感じのエッジな情報を横目にというかがっちり記憶しつつ地元田舎の売れ残っているレアゲームを買っては友人とプレイ。
私自身、ゲーム雑誌をほぼ読まない人なので、どんなゲームも新鮮でした。
ハズレもたくさんというか、安いものをメインで買っていたためにほとんどハズレをひいていたわけですが、
金銭的なダメージは少ないので満足度はかなり高かったです。

・攻略本というもの

NTT出版のファイナルファンタジーIIIの攻略本の出来が良かったのが印象的でした。
それまでの、「ただクリアに向けてポイントにアドバイスが書いてある」という攻略本の形ではなく、
設定資料やデータ集といった感じで、世界観を損なわず知識欲を満たしてくれる本。ゲームと一緒に持っておきたい内容のつくりでした。
エニックスが出版したドラゴンクエストの攻略本も、ゲーム内で語られないような内容が載っていたりと、
読み物的な部分があり好印象。当時RPGが好きだったので隅々まで読んだ覚えがあります。
90年代中盤になって、昔ながらの古本屋ではなく、ブックオフのような店が現れてきたため、
安い攻略本を買う手段ができ、「このゲームにも攻略本があったのか!」という驚きと知識欲で、
持っていないゲームの攻略本も可能な限り買うようになりました。
そのぶん買えるゲームソフトは減るわけですが、ゲームソフトは借りるという手段もあったので必然的に攻略本を優先するようになっていた気がします。

・コレクション、お気に入りのハードとソフト

ゲームソフトを集めるのは子供の小遣いだと無理なわけですが、高校時代に捨て値の中古ソフトに目をつけました。
時代はSFC全盛期なわけですが、ファミコンやPCエンジン等、数年前のゲームソフトのセールを見つけては買いこんで端からプレイしていました。
ファミコンは世代的に当然なのですが、このサイトに記事のある布施さん同様、PCエンジンがお気に入りのハードです。
Huカードのパッケージは黒色のプラスチックケースにイラストジャケット(取扱説明書の表紙)のみでゲーム画面の写真が一切なく、
しかもシュリンクしてあるという、ブラックボックス的な存在が印象に残っています。
よく投売り捨て売りされていて安かったので内容を知らないまま買っていました。
このハードでは『パラソルスター』『マジカルチェイス』が特にお気に入りです。
前述のレアゲームに興味を持ったのは『マジカルチェイス』(※6)が大きく影響してます。

SFC『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』
元は『ROGUE』というゲームのアレンジなのですが、
一番評価しているのはプレイアビリティを格段に向上させたUI(ユーザーインターフェース)ですね。
斜め移動や地図の表示、道具の並び替えが1つのボタンで出来るので、
テンポ良く思い通りに動かせるようになると待たされている感覚が少なくなり、内容の濃いプレイ時間がすごせます。
速度だけで例えるならGBC版ウィザードリィから肉付けをはずしてオールドPC(appleII版)の表示にしたときのような快適さに似ているでしょうか?(もっとわかんねーよ)
イベントアイテムを拾った後、階段を上って戻るという要素も好きでした。
バランス面では後のシレンシリーズより小さくまとまっているこちらのほうが評価できる感じがします。
アイテムの成長で初心者にも優しかったり、その育成要素がレベル制のやりこみ心をくすぐったりと良い面もあるのですが、
後のシリーズで育成が必須となっている感じは残念ですね。+99とか初期状態から変化しすぎだろうと思います。
源流を同じくするゲームとしてはトルネコ以前にGG『ドラゴンクリスタル ツラニの迷宮』という作品があるのですが、こちらは操作が比較的不自由な感想でした。

・1995~

ゲーセンで好きだったタイトルが移植されるということでちょっと無理してセガサターンを購入。(※7)
『レイヤーセクション』と『ダライアス外伝』をずっと遊んでいました。今遊んでも良い作品ですね。
セガサターン対プレイステーションのハード戦争が続く中、
やはり一世代前のSFCゲームをテキトーに遊んでいるうちに『カオスシード~風水回廊記~』に遭遇。
このタイトルが一番好きなゲームですね。
効率の良いダンジョンの作成、初期配置でランダム要素の有る緑赤黄3種類のマークを部屋にどう入れるか、
等のアドリブを必要とする点もあったりと、飽きさせない内容でした。
この作品はリメイクで追加改良されたセガサターン版『仙窟活龍大戦カオスシード』がお勧めです。
倉庫がデフォルトで異次元倉庫(別のシナリオでの取出しが可能)になっていたりと、遊びやすさもかなり向上しています。
この作品を作ったネバーランドカンパニーの作品は良いものが多いのでチェックしておきましょう。(※8)

・近況2000~2010年

最近は周囲に影響されてゲームに欲が出てきているのですが、2002年以降から最近まではほぼ活動していませんでした。
活動を停止した理由は、3つあり、ひとつは、金銭的&物理的な問題でした。
安くなったものを買うとは言え、数が膨大になると金銭的な問題、更にはスペース的な問題がどうしても発生します。
もうひとつは2001年の時点で、所持しているゲームソフト(積みゲー)を一生遊び続けてもクリアしきるのは無理(ヘタなので時間がかかるのも一因)だという試算が出ていたこと。
そして最後のひとつは2001年をすぎた頃にTVゲームの産業が巨大化し、
多種多量に創造されているゲームソフトや関連商品を見て、
「これだけメジャーになれば国営のゲーム図書館(※9)等が出来るのではないか」と期待していたからなのです。
もしそうなれば、現行機種のゲームはその図書館なりが買い集めればいいわけで、
(当時は)楽に収集できるものを私が集める意味はありません。
以上の理由で規模を縮小し、2000年以前の書籍に絞ったのですが、
活動停止中も興味は尽きないもので、趣味のゲームは徐々に増え続けていました。
後悔はしていませんが、置き場には困っていたりします。

そんな中、細々とゲーム収集を続けていた私のホームページを見た旧友から声をかけられ、
ゲーム図書館として一部の展示をやってみよう(※10)ということになり、
2000年以降のゲームや書籍ですら遭遇率が落ち、入手が難しくなっている2010年の現状を見て活動を再開(拡大)しました。

コレクション活動を再開したからといってコンプを狙ってオークションに手を出すようなことはしない予定なので、
相場を荒らしたりすることはありません。コレクターや純粋なそのゲームのファンの方は安心してください。
安いものに限っての購入になっているのでレア書籍は運が良くないと入手できなかったりするのですが、それはそれでいいんじゃないかと思っています。
レアな本であれば大切に扱うでしょうし、私みたいなコレクターが持つよりはその作品を好きなファンの手元にあったほうが良いですしね。
状態に関しても欠品以外はあまり気にしていません。
通常の使用でつくような傷とかは、自分で使っていてもついてしまいますし、それを気にしていたらきりがありません。(※11)
当然、安価で状態の良いものが目の前にあれば買いますけどソレはソレ。

・未来に向けて

今の日本には特定の文献以外でゲームの歴史を知る環境がないので、
現状または未来でマリオやバーチャファイターなどのビッグタイトル以外の情報しか知りえない、偏った認識がされる事を危惧しています。
今の子供は膨大な情報、ゲームの数がありすぎて、どうやっても一部のゲームのつまみ食い程度でしかなく、
全体を把握したり、ゲームを集めるといった目標は持ちづらいと思います。
リアルタイムで遊んでいない旧世代ハードのゲームソフトをプレイすることすら難しいですしね。
それでも、少ない小遣いの中で入手したゲームを「狭く深く」遊ぶということもじゅうぶん魅力的ですので、がんばって欲しいところです。
ですが、「広く深く」という知的好奇心に溢れた子供がいたならば、
公開を予定しているゲーム図書館でぜひ協力してあげたいですね。
ゲームが進化していった過程を時系列で展示。
同じハードでもプログラム技術の進歩を感じられる様に順番に展示して体験してもらう。
同じ年のゲーム機&ソフトを並べてプレイした人それぞれの主観で当時のベストハードを決める。
など、当時の環境を再現したり出来れば楽しいなあなんて思ってます。
そこで育った子が、経験を活かして将来何かをやってくれればいいですね。
もちろん面白いゲームを作ることでも良いですし、別のジャンルで活躍するのも良いことだと思います。
問題点は消耗劣化ですね。盗難は流石にモラルの問題ですが、劣化や消耗は仕方がないことですね。
もとより、遊ぶために購入したものなので遊び倒されて消費することはほほえましいことなのだと思っています。
欠品が出たときには補充(※12)をすればよいと考えています。

流通や宣伝などの情報に左右されない純粋な意味での自由公平なゲーム選びが出来るスペースを作り、
予備知識のない人がどんなゲームを楽しいと思うか…等、興味は尽きません。
まだ形もないゲーム図書館構想ですが、公開後に賛同していただけるかたからは、不要な品を寄贈してもらえればと思っています。

・ゲーム仲間

ゲーム仲間を持つことは大きな宝だと思います。
大人になると共通の時間を作ることが難しくなり、一緒に遊ぶのも月に1回会えるかどうかになってしまうのが普通です。
ゲーム図書館で、集まれる場所を作って、ゲーム仲間と共通の話題ができればいいなあという期待もあります。
平日昼間は仕事があるし、遠出するには道が混んでいるし…という経験があるので、深夜の公開とかも需要があるんじゃないかなあと思ってます。
要望があればやりたいですね。
問題は、そればかりやっていたらお金が稼げないので食べていけないということですね。いくら時間があっても足りないです。

興味を持ったかたはゲーム図書館ができたら声をかけてみてください。
苦手ですが女性も歓迎ですよ。

※1 双葉社の青い背表紙で有名な、主にテレビゲームを題材としたゲームブックのシリーズの同人誌は好評でした。
あとはメガドライブ以前のSEGAハード関連書籍リストの同人誌が人気だったと思います。

※2 『超クソゲー』(太田出版刊)の著者のひとり。
当時のインターネットの日記ともども、勢いのある文章で有名。
侍魂の人の日記手法は、デザイン共々ABCさんの日記が源流だと思っています。

※3 編集のかたも忙しかったのだと思いますが、慣れない依頼だったのか依頼から提出まで2日しかなかったり、やり取りがまったくなく、最初に渡した草案の方のデータが掲載されたり、完成した誌面ではそれぞれ最初の1文字が消えていたり等、残念な掲載になってしまったものもありました。

※4 当時は紙箱パッケージをそのまま展示用に使っていたので勿体無いなあと思っていました。

※5 そのゼットはメディアランドと社名を変えて店舗を広げていったのですが、
しばらく前に秋葉原へ行ったときには何故か「巫女ストーンの店」になっていたため、ジェネレーションギャップを感じたものです。

※6 『マジカルチェイス』(パルソフト販売クエスト製作)PCエンジンHuカード横スクロールシューティングゲーム。
発売当時からモノを見ることがほとんどないレアゲームだった気がします。
数年後にPCエンジンFAN誌上で再販した(パッケージに違いがあり)という異例のソフト。

※7 実は次世代機ではプレイステーションを持っている知り合いとセガサターンを持っている知り合いがいたので私はPC-FXを買ったのですが、
動画再生の出来るPCエンジンといった程度の性能で、ソフトがほとんど出ないまま終了しました。

※8 ネバーランドカンパニー。下請けのゲーム製作会社。そのため表に社名が出ることはほとんどありません。
DC『不思議のダンジョン 風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参!』もこの会社だったりします。
SFC『エナジーブレイカー』は会話システムなどが不完全なままなのですが、遊びやすい良い作品でした。
エストポリス伝記シリーズはこの会社の作ったSFC版とGBC版が好きですね。別の会社が製作したGBA版はちょっと趣味に合いませんでした。
海外GBAで購入した『CIMA the ENEMY』(1年後に『フロンティアストーリー』として発売)はパズルアクション的要素が受けなかったのか、
国内ではイマイチな評価。NDS『エストポリス』もパズルアクションになっていたため、評価はイマイチでした。

※9 セガのメガドライブ時代のサービスとは別です

※10 ゲーム図書館構想
スペースの提供をしてくれるという三月うさぎの森さんのところで公開する予定です。

※11 極論で言えば、輸送用ダンボールに同じゲームソフトが未開封のままつまっているのが理想。
それ以外は新品での購入でも微妙な色あせがあるために妥協品。
MIB=ミント・イン・ボックス 「未使用/箱付き」の状態のものを指す用語の語源の品を考えれば外気や日光に触れただけで状態は著しく劣化しています。
更にいえば、紙箱パッケージのゲームソフトは、出荷前の折っていない箱なども収集対象になるでしょう。
雑誌の折込ポスターも、折っていない状態のものが良品となります。入手は困難を極めますが。

※12 今はamazonのマーケットプレイスという良い物があるので、お金さえかければ私のコレクションの大半は手に入りそうです。
欠点といえば、amazon自体が近年のものなので、雑誌扱いの書籍や、古いISBNコードのものはあまり登録されていなかったりすることですね。

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